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野生動物とどう向きあうか

 ワイルドライフ・マネジメント――それは野生動物の生態や生物学を明らかにして,その保全と管理のための技術や方法を開発し,野生動物と人間との関係を調整する分野である.
 日本には,海洋性のクジラ類を除くと,117種の哺乳類が生息している.種の絶対数としては多くはないが,国土面積当たりの種数に換算すると,アメリカや中国をもしのいでしまう.しかも約四割は,わが国だけに生息する固有種だ.日本は世界でも有数な野生動物の多産地であると同時に,誇るべき「博物館」といってよい.その豊かで貴重な野生動物相のまるごとをわたしたちは守り,つぎの世代へとバトンタッチしていかなければならない.
 しかしいま,人々と密接な関係を取り結んできた身近な野生動物たちは,人間社会をも凌駕し,圧倒する時代を迎えようとしている.自然を攻めたて,野生動物を圧迫した人間社会は,いつのまにか自然から離れ,撤退を始めようとしている.このような時代にあってわたしたちは野生動物とどのように向き合うべきなのだろうか.
 この本では,日本人にとって馴染み深いニホンジカやツキノワグマなどの野生動物を取り上げ,その現状や提起されている課題を整理しながら,野生動物たちを保全し,管理していく方法や技術を,わたし自身が関わったいくつかの研究を題材に紹介する.それらは創りだされるべき技術や方法のほんの一部にすぎない.けれど,日本版ワイルドライフ・マネジメントの扉を開く入門書になれば,これにすぎる歓びはない.
(まえがきより)

 野鳥誌 8月号 37ページに松田さんが紹介されてた本です。従って、わざわざ私ごときが解説する必要もないのですが、これは面白いと思ったのは、9つの “ノート” です。さらっとこれ読むだけでも楽しめる、あるいは、なにかもの言う時の武器になるはずです。

1 野生動物に関わる法律
2 ブナの豊凶の予測
3 さまざまな個体数推定方法
4 標識再捕法
5 年齢を調べる(1) 歯の年輪法
6 年齢を調べる(2) カモシカの角輪法
7 生命表の構成と読み取り
8 ツキノワグマの存続可能最少個体数
9 60羽のトキは存続できるか
             岩波書店 HPより

    ワイルドライフ・マネジメント入門 
    ―― 野生動物とどう向きあうか ――
    岩波科学ライブラリー 
    2008年6月17日
    ■ISBN978-4-00-007485-8 C0340

    現在品切れ状態ですが大手通販サイトで入手可能です。

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