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越山洋三の色鉛筆(連載・第2回)

 9月17~19日、大阪市立大学で日本鳥学会2011年度大会が開かれ、僕も参加してきました。公開シンポジウムの講演によれば、最近はDNAによる鳥の分類の研究が進み、日本で「メボソムシクイ」とされてきたものに3種が混じっていることがわかったそうです。その3種というのは、コムシクイ(Phylloscopus borealis)、オオムシクイ(P. examinandus)、メボソムシクイ(P. xanthodryas)です。互いに良く似ていますが、190~250万年前に分かれた立派な独立種とのことです。

 さて、学会後の懇親会で楽しく飲んでから岡山の自宅に帰った翌朝。僕は以前に描いた「メボソムシクイ」の絵を引っ張り出して来て、それがどの種にあたるか確かめてみました。モデルにした写真を見直し、その写真を撮影した時に聞いた声を思い出してみました。また、独りよがりな思い込みは禁物なので、その筋の専門家O氏と連絡を取り合い情報交換をしました。その結果、僕の描いた絵はオオムシクイの第1回冬羽だとわかりました。
 日に日に秋の気配が強まるこの季節、オオムシクイは野山を渡ってロシアから東南アジアを目指し南下しています。散歩の途中、小さな小さな鳥が河畔林の中で虫を探してひっそりと飛び回っているのを見かけたら、それはオオムシクイかもしれませんね。

  (画像の無断転載、使用は固くお断りいたします。 Copylight (C) Yozo KOSHIYAMA)

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