ヨーロッパでは冬至の前後2週間をhalcyon days(ハルシオン・デイズ=カワセミの日々)と呼ぶそうです。
英語でカワセミはkingfisherですが、ギリシャ神話の中に、悲劇の死を遂げた夫を悲しんで自殺し、死後にカワセミになったハルシオンという女性が登場するので、こう呼ばれているようです。
このカワセミと冬至の関係について、ギリシャの哲学者アリストテレスが『動物誌』の中で次のように書いています。
「鳥類はたいてい春から夏の初めにかけて交尾し産卵を行うが、カワセミだけは例外である。カワセミは冬至の頃産卵する。それゆえ、冬至が穏やかな日和ならば、冬至の前の7日と後の7日は“カワセミの日々”といわれるのである。(中略)カワセミは7日間で巣を造り、残りの7日間で卵を産み、雛をかえす、といわれている」。
カワセミが冬至の頃に産卵するというのは神話のための作り話でしょうが、日本のある研究者が3年間調査したところ、7日間で巣穴を掘り、7日間かけて1日に1個ずつ卵を産んだそうです。
この点では、アリストテレスの知見はきわめて正確だったわけです。
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