この冬、大阪の某所にヨーロッパトウネンが出現したので行ってきました。いわゆる「珍鳥」で、私は初めてです。
普通のトウネンによく似ていて、図鑑には「トウネンより関節の上が少し長い」とか「クチバシの先がやや細い」といったマニアックな識別ポイントが書いてあります。
私はどう違うのかよく分かりませんが、地元の愛鳥会の方に「これがヨーロッパトウネン」と教えていただいたので間違いないはずです。
下の動画ではヨーロッパトウネンとトウネンの違いをお伝えしようと交互に編集しました(トウネンは昨年別の場所で撮影したもの)。
このヨーロッパトウネン、以前はきわめて珍しい鳥でしたが、最近はそうでもないようです。その要因はデジタルカメラ。
デジカメで鳥を撮影する人が増え、その場で拡大してトウネンかヨーロッパトウネンかを識別できるようになったため、全国的に記録が増えているそうです。
これまでは、普通種によく似た珍鳥を双眼鏡やスコープで目撃しても、記憶だけでは識別に自信が持てませんから「珍鳥を見た」と断言できませんし、フィルムカメラで撮っても現像やプリントに時間がかかりますが、デジカメならリアルタイムで確認できます。
タカの渡り調査でも、双眼鏡で識別できない場合、カメラで撮影した画像をその場で拡大して雌雄や成幼を確認することが増えました。
ということは、カメラの進化によって、鳥の分布や生態が変わるということです。実態には変化がないのに、人間の認識レベルが変わるわけです。
ヨーロッパトウネンのようにかつての珍鳥がそれほどでもなくなることもあれば、それまでの常識ではあり得ない場所に、あり得ない珍鳥が記録される可能性もあるということです。
これまでも、双眼鏡やスコープ、超望遠レンズなどが登場するたびに人間の認識レベルが向上したのですから、光学機器の進化による野鳥の分布や生態の変化は今に始まったわけではありません。さらに押し広げれば、自然と科学は常にそういう関係にあるということでしょうね。
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