みなさま。これまで3月に2回、4月に1回、5月に1回と、大文字山・東山におけるカシナガ防除を呼びかけ、のべ70人近い参加で、たくさんのスティックを打ち込むことができました。1人が100本打ったとしても7000本の対処ができました。1つの穴から飛び出すカシナガの数は、平均70頭ぐらいですから、約50万頭のカシナガの飛来を押さえ込んだ計算になります。
しかしこれでも全ての被害木に対処ができたわけではありません。まだまだ開いている穴がありますが、6月中旬から下旬にかけて、カシナガの羽化が始まります。これまでは被害木から、ムシを羽化させないための封印が中心でしたが、6月下旬からは、発生したムシに穿入を受けた新たな被害木を助けるための行動が問われます。
このため次回を7月3日(土)に設定して、再び対処を行ないます。
場所は5月と同じ、若王子墓地(若王子山頂上)です。熊野若王子神社に12時半に集合して現場に向かいます。雨天の場合は、4日(日)に順延します。
大文字山周辺の登山地図と熊野若王子神社が載っているURLを記しておきます。
http://www.geocities.jp/mitsuhashi55/daimonji.html
http://www.kyoto-16sha.jp/j_kumanonyakuouji.html
また今回は、カシナガから木を守るだけでなく、植林も試みます。雨季に植樹が適している常緑樹の中から、イチイガシを選んで苗を植えます。苗は主原さんが育てているものです。
なお当日は主原さんによって、植林の現場講習もしていただきます。その他自然観察もかねます。これ自身はとても面白いです!
みなさん。ぜひ再度、お力をお貸しください!
みんなで守ろう!みんなの東山!
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○カシナガ羽化時の対処の重要性
カシナガは羽化すると、まずオスが木に取り付いて、穴を掘りだします。このオスが出す物質と、木屑が合成されたものが、ムシを集める集合フェロモンとなり、メスが引き寄せられます。このメスが背中のマイカンギアという器官にエサになるナラ菌を乗せてくるのですが、これが木の中に大量に入り込むと形成層に感染 し、壊死をもたらして、木を死なせてしまいます。
そのために、ベストな対処は、オスが穴掘りしている段階で、スティックを打ち込み、ナラ菌をもちこませないことです。ただしそれに間に合わず、メスが入り込んだ後でも、穴がふさがれてしまえば、掘った屑を排出できないので、カシナガは生活域を広げることができません。そのためこの段階でのスティック打ちも意 味があります。
○ビニール半巻きの効果
またスティックうちと共に、まだ被害を受けていない木へのビニール半巻きもどんどん進めます。木の生きている細胞は、主に樹皮のすぐ内側にある形成層と呼ばれるところです。この形成層がぐるりと一周、壊死してしまうと木は生き残れませんが、半分ぐらい残れば、生き残ることができます。そのためビニールを半分 撒いて、この部分を守ります。反対の側にカシナガが入りますが、これだけなら、木は枯死することなく、いわばワクチンを打った状態になります。
反対にビニールを一周巻いてしまうと、その部分は守れますが、ビニールを巻いてないところにカシナガが入り込み、ぐるりと一周がやられて、結局、木が枯死してしまう可能性があります。そのため、すべての穿入が防げないと判断して、むしろ積極的にビニール半巻きの反対側にカシナガを誘引する方法が、半巻き対処 です。
ちなみにビニール巻きはより早く進めたいのですが、広大な大文字山周辺の中で、これまでも何回が対処してきた場所であり、京都の中でももはや数少ない落葉広葉樹のきれいな林となっている大文字山先人塚周辺、および大文字近くの吉田山を選んで、平日に、主原さんと作業を遂行中です・・・。
連絡先 守田敏也 morita_sccrc@yahoo.co.jp