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能登川・伊庭内湖

 大阪へオリンピックを招致しよう、ボート競技場は能登川、ふって湧いたような話し、すでに 10年近く前のことである。そして、この野鳥の楽園は今もなにかわることなく健在である。私自身ももう何年も来てなかった。 今回は滋賀支部の探鳥会へ参加したのだがコースも駅前以外の町並みもなにひとつ変っていないように見えた。実に懐かしい。
 まずトゲウオ科のハリヨGasterosteus microcephalus (絶滅危惧IA類 CR)がいたりする町中の水の流れの美しさ、

     バイカモ Ranunculus nipponicus var. submersus

 広大な農耕地、ヨシ原に囲まれた水鳥の宝庫「伊庭内湖」、温かい地元の人たち、もちろん問題がないわけではない、農薬汚染、狩猟、生物を愛するために解決しなければならないことは山積しているのだろう。なんとか均衡を保っているのが現況かも知れないがとにかく、少なくとも 10年間維持されてきたこの環境。ここで主に鳥をみてこられた I 氏のなみなみならぬ努力の日々の結晶と言っても過言ではない。
        滋賀支部、伊庭内湖探鳥会(3月2日)

(I 氏の能登川・伊庭内湖への思い、次のページに一文をいただいています。下のほうにある「続きを読む」をクリックして下さい)

●見聞きした鳥
カイツブリ、カンムリカイツブリ、カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、アメリカヒドリ、ミコアイサ、ミサゴ、トビ、ケアシノスリ、ノスリ、チュウヒ、オオタカ、コチョウゲンボウ、バン、オオバン、ケリ、タゲリ、イソシギ、ユリカモメ、セグロカモメ、キジバト、ヒバリ、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、トラツグミ、ウグイス、メジロ、ホオジロ、ホオアカ、アオジ、オオジュリン、カワラヒワ、ベニマシコ、スズメ、ニュウナイスズメ、ムクドリ、コクマルガラス、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス 59種

 
           オオジュリン 

 写真はクリックすると見やすくなります。鳥の写真は会員のかたにご提供いただいてます。

 伊庭内湖に関わって

 私は広島県の山間部の農村、今流行の里山育ち、縁あって大阪の会社に就職。昭和40年彦根市内の工場に転勤し、以来、滋賀県人となりました。子供の頃から自然や生き物が好きで、中でも魚釣りが大好きでした。彦根に来てから色んな釣りを矢継ぎ早にやりました。
 伊庭内湖との出会いは春のモロコ釣りがきっかけ。産卵のため琵琶湖から遡上して来るモロコを釣るのです。伊庭内湖は春、モロコ釣りのメッカとして知られ、遠くから貸切バスで来る人もあり、多くの人で賑わったものです。40年前、今は昔の話ですが。
 私も初春になると休日には、夜の明けぬうちからバイクをとばし喜び勇んで出かけました。モロコもさることながら、その景色の美しいこと!朝モヤの中、ヨシ原の所々に柳の大木、鏡の様な水面を夫婦の乗った和船が、昨日仕掛けた刺し網をゆっくりと引き上げていきます。中ほどにある乙女橋の上から見た美しい風景を今でも忘れられません。里山育ちの私には何とも素晴らしかった。「家を構えるならこの近くが良い」と心に決め昭和48年、能登川町に居を構え現在に至っています。

           伊庭内湖

 平成12年2月、「この素晴らしい貴重な伊庭内湖を潰して大阪五輪の漕艇場を造る。」と言う計画を「能登川町議会だより」で知った時「何をするねん!!」と怒りが込み上げてきました。そして意を決して反対の手を挙げました。
 それから約1年、メディアや多くの方々のご支援を得てこれを撤回する事に成功、平成13年1月、決着しました。伊庭内湖探鳥会を始めたのはこの時からです。これで万々才、伊庭内湖に棲息する野生生物は末永く守られると思いましたが、思わぬ事が起こりました。
 2月、伊庭内湖で鳥見をしていると銃声が2発、またまた何たる事を!!鳥獣保護区で白昼に密猟をしているとは!! 能登川駅前交番に駆けつけ、パトカーを先導引き返し、現行犯検挙に至りました。犯人は近くに住む老人。これが何と町が推薦し県が委嘱した自然保護監視員!!開いた口が塞がらないとはこの事。 大きく報道され話題になりました。通報した側として、一日がかりで、八日市署で調書作成に協力しましたが、帰りに「たねやの高級菓子」を土産として頂きました。警察から土産を貰うとは、苦笑い状態。
 それはそれとして、現場をつぶさに調べて見ると、空薬キョウがあちこちに。公園内や、琵琶湖岸にもこれまた吃驚。そして、伊庭内湖の上流の須田沼が銃猟禁止区域に指定されていない事が分かりました。此処の銃禁指定を貰うべく、また約半年間奔走しました。これも多くの方々のご支援を得て11月の狩猟解禁日までに指定にこぎ付けました。

          オオイヌノフグリ

 さて、解禁に当って実態はどうなのか、密猟パトロールを始めました。原則として、毎日午前、午後各1回 須田沼―伊庭内湖―大同川―琵琶湖―愛知川―と車でゆっくり走りながらパトロール。実態を知って愕然と!! 全くの無法状態。猟友会滋賀県副支部長が春先に「密猟老人は全く特殊な奴、他の者は順法に徹している」と言っていたのを思い出し、血圧が上りました。
 今でも忘れる事が出来ないのは、銃禁区域の大同川の土手で、すぐ傍に魚釣りをしている人々が居るのに、赤帽赤チョッキで銃をぶらさげ、カモの飛ぶのを待っている。明らかに違法。さすがに、こっちの腕章に気が付き、急いで車に乗り猛スピードで消え失せた。
 このシーズン、パトカー出動要請したのは4回。退去する様指導してもらった。直接文句を言うことは出来ませんので。田圃でデコイを使う、犬を放す。1日中、巡礼者供養碑の所で4~5人待機等など。
 翌年の平成15年も実施。矢張りパトカー出動要請4回、指導してもらう。昨年も、今シーズンも実施していますが昨年からやっと目に見えて、減ってきました。ただゼロにはなりません。大同川のヨシ刈り老人や、近くのハウス農家は喜んでます。一番喜んでいるのは、カモやキジやキジバト? いや私です。足しげく廻ることで鳥見が十分出来ました。

           ケアシノスリ

 ご褒美も貰いました。去年はアカツクシガモ、今年はナベズルの飛来です。多くの鳥見客がやって来ました。多くの人と触れ合うことができました。入会者も数人確保。水車公園の軽食喫茶のオーナーも喜んでます。
 もう一つのご褒美は、「伊庭内湖の自然を守る会」の発足。構成は行政がらみの人を含め、多種多様、31人。ゴミの掃除や勉強会などボチボチ活動をしています。これも外来者が「素晴らしい、こんな美しい風景が残っているとは、是非、残してください。守ってください」の声に後押しされての事。アカツクシガモ様さまです。
 これからも命ある限り伊庭内湖に関わって行く事になると思います。良い方にいくか、どうでしょうか。
                    H.I wrote

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           能登川水車公園

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