カワセミは、その愛くるしい容姿からバードウォッチャーにはとても人気の高い鳥の一つです。“空飛ぶ宝石”と呼ばれるように、昨年BIRDER誌での「美しい鳥」読者投票でも断トツの1位を獲得しています。
そんなカワセミの仲間たちを集めたコンパクトなハンドブックが本書です。
世界には100種ほどカワセミの仲間がいますが、本書にはそのうちの70種を掲載しています。カワセミというと水辺との繋がりが深い鳥を連想します。しかし、世界に目を向けると、水辺に依存しない森林性の種が多いことが分かります。それらの多くは鬱蒼とした森の中に暮らしているので観察するのが手強いものが多く、未だ生態が不明で巣も見つかっていない種もあります。中には治安の悪い地域に生息し、個体数も少ないことから、写真に撮られたことがなく、ある亜種では雌の姿は分かっていても雄が分からないといった摩訶不思議なのまでいたりします。
このハンドブックシリーズではマニアックな企画が多い中、本書は「世界にはこんなカワセミの仲間がいるよ」といった入門書的な内容になっています。バードウォッチャーでなくても見て楽しめる仕上がりになっているので、ちょっとしたプレゼントにもぴったりかもしれません。
私は本書作りを通してカワセミ類にハマっていまいました。可愛さ、美しさ、神秘さ、レアさ、どれも魅力的です。なかでもハシブトカワセミは、残りの人生で見ておきたい鳥ベスト3に入る憧れの鳥になってしまいました。だってイカルのような嘴を持った、体長が30cmほどもあるカワセミって見たくないですか?
読者の方がそんな様々な思いを馳せながら眺めてくれれば著者冥利につきます。沢山売れたら改訂版が出るかもしれません。いや、きっと出ます。その時は、全種を集めて作りますので皆さんどんどん買って下さい。 大西 敏一
世界のカワセミハンドブック
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