メニュー 閉じる

鳥の聖域

この冬も大阪南港野鳥園にツクシガモがやってきたので、観察に出かけました。名前のとおり、主に九州に渡ってくる冬鳥です。
もともとの生息域は有明海でしたが、悪名高い干拓事業に追い出され、大阪湾にもやってくるようになったと言われています。私が訪れた日は32羽がのんびりと水面に浮かんでいました。

    

ところが、2月に大阪市がこの野鳥園の閉鎖を決めたというニュースが流れました。
正確には、観察舎は取り壊すものの鳥が見られるよう跡地を緑地にするらしいですが、これまで継続してきた干潟の清掃や管理が難しくなるでしょう。大阪支部やWWFジャパンが中心になって存続を求めてきましたが、聞き入れてもらえなかったわけです。
廃止の理由は、「公共が関与する必要性の低い事業である。料金非設定で、税等を投入して継続する合理性が低い」というもの。しかし、自然環境や生物多様性の保全に公共が関与しないでどこが関与するのでしょう。行財政改革は必要ですが、自然保護を「費用対効果」という経済の評価基準で測るのは間違っていると思います。
大阪南港野鳥園は貴重な「バードサンクチュアリー」ですが、英語にするとおしゃれな施設に聞こえるものの切迫感が伝わりません。「鳥の聖域」と日本語で表現した方がその重要さが伝わるのではないでしょうか。
国の愚策によって追い出されたツクシガモが、今度は大阪市の愚策によって行き場を失います。日本の「鳥の聖域」がまた一つ消えてしまうのです。

               次の観察会は「探鳥会案内」をクリック

カテゴリーの最近の記事

1件のコメント

  1. fagus06

    Unknown
    タマミズキ様、コメントありがとうございます。この市長には決断力はあると思いますが、理念がないと思います。何のために行政をするべきなのかが分かっていない人ですね。私には経済の論理で行政を処理しているように見えます。

コメントは受け付けていません。