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お寺のグリーンウォッシュ

大津市の三井寺が、針葉樹中心の境内の森を広葉樹林に切り替えると発表しました。
甲子園球場30個分の面積を有し、現在はその7割が人工のヒノキ林、2割がシイ林。これを「動物と共存できる多様性に富む森林に転換したい」というのがその趣旨です。
ところが、そのニュースの中に「サクラやモミジを植えて多様化したい」という関係者の声があって、「あ~、やっぱり」と幻滅しました。

「動物との共生」とか「多様性に富む森林」とか環境に配慮したふりをしながら、実際にはサクラやモミジを植えて、春と秋の観光客を増やしたいということでしょう。
こういう動きは三井寺だけでなく京都のお寺にもあります。清水寺も同様の口実で裏山にサクラやモミジを植えています。嵐山では「嵐山保勝会」という団体が中心になって積極的に植樹を進めていますが、この団体の構成メンバーの多くは料理旅館や土産物屋。

「人工林を天然林に戻す」あるいは「動物と共存できる森を作る」というなら、サクラやモミジではなく、コナラやクヌギ、タカノツメ、コシアブラなどの落葉樹、ソヨゴ、ヤブツバキなどの常緑樹といった近畿地方の天然林に自生する樹種をまんべんなく植えるべきでしょう。
欧米では“環境にやさしい企業”を偽装する行為を「グリーンウォッシュ」と呼び、社会的な批判の対象にしていますが、日本ではお寺でもこんなグリーンウォッシュが行われています。
「観光客を増やしたいのでサクラとモミジを植えます」と正直に言えばいいのに、多様性や動物との共存を隠れ蓑にする…。仏の教えでは、こういう行為を何と言うんでしょうね~。

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2件のコメント

  1. fagus06

    Unknown
    京都市民様、コメントと資料ありがとうございます。
    サクラとモミジは指摘したとおりの目的でしょうが、なぜアカマツなのかは分かりにくいですね。
    江戸時代の嵐山は貧栄養の土壌のため、マツしか育っていなかったようです。当時の絵画などにその様子が描かれています。
    ここから先は私の推測ですが、春は桜、秋は紅葉、そして桜もモミジも落葉した冬は、昔ながらのアカマツ林という景観を作り出したいからではないでしょうか。
    「グリーンウォッシュ」という言葉が普及すれば、いずれは寺社の山も問題視されると思います。

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