ずいぶん昔からカラスは嫌いではなかった。興味もあった。だが、本当に面白い鳥だと思ったのは、大学に入ってカラスを少しは真面目に見るようになってからである。
大学4年の時、毎日のように円山公園に通ってハシボソガラス(時々、ハシブトガラスも混じる)の集団を見ていたことがある。間近に見るカラスは表情豊かで騒々しくて負けん気で時々ドジっ子で、笑えるエピソードとドラマに満ちていた。見れば見るほど、「パン屑を拾いに来る姿でなく、こいつらの普段の生活を見てみたい」という気持ちが抑えられなくなった。だから、大学院ではカラスの基礎的な生活史を眺めてみるということを始めた。そして、面白くて未だにやめられない。
カラスは最も身近な野鳥の一つだ。だが、バードウォッチャーに嫌われがちな鳥でもある。ありきたりで、粗暴で、小鳥の敵と思われることもあるだろう。だが、彼らは否応なしに我々の隣人であり、はるか昔からヒトの生み出した環境を利用して住み着いている野鳥である。自然との共生という言葉を耳にする時、「カラスと折り合うこともできずに共生などありえない」と思うのだ。自然とは遠くの他人事ではない。毎朝、頭上でゴミを狙っている黒い鳥、あれが自然であり野生である。
……などとカタいことはなるべく書かずに、「カラスって笑える~」と思って頂ける本をめざしました。知らないから怖い。なんだかわからないから不安。カラスの素顔ってなんだか愉快。笑顔で挨拶できる仲になれば、隣人のやる事もだいたいは許せるし、ストレスも溜まらないでしょ? 嫌いなものが多いより、友達が多い方が人生は楽しいのです。きっと。 東大総合研究博物館 IMT研究部門 松原始
カラスの教科書 松原 始 著
¥1680(本体¥1600+税)並製 400p 四六判
ISBN: 978-4-8441-3634-7
雷鳥社 (一冊から送料無料ですクリック)
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Unknown
メールで紹介があり「カラスの教科書」を即2册購入しました、
1册は私が所有、残りの1册はカラスの好きな人のために事務所の書棚に置いてあります。
399頁の本をあっという間に読み、ますますカラスが大好きになりました。ハシブトガラス、ハシボソガラスの後援会長にでもなろうかな・・。
京都市の有害駆除担当者曰く、既になってるつもりでしょ?。
この本は理屈抜き大変勉強になります(鳥獣保護員として)。面白いです、楽しいです、そしてカラスがたまらなく可愛いく思えます。
最後に松原先生のイラストがいいんです。時々現れるカラスのイラスト、目つきがたまらない・・。
以上、カラス大好き人間の感想ですので悪しからず・・。