“初秋の桂川沿いを歩く”
午後には雨は上がったものの、低い雲がたちこめ、汗がじとじとと吹き出す異様な天候となった。総勢9名と、これまた異様に少ない人数で出発。後で一人が加わり、やっと二桁となった。負け惜しみを言えば、少人数の方が纏まりがついて良かったかも知れない。
マツムシ♀
まず、松尾橋直下で、ツクツクボウシの声をバックにキリギリス、シバスズ、オナガササキリを聴く。間もなくスズムシ、マツムシの歌が加わる。まだ午後 4時過ぎで、明るいうちなので驚く。続いて、美声の持ち主エンマコオロギを始め、多くのコオロギ類、キリギリス類が次々に唱和し、賑やかになっていった。鳴かないバッタ類も姿を見せた。道路脇の斜面でヒゲシロスズが鳴いているという。それに数も多いらしい。6~7年前まで、嵐山のトロッコ駅近くで、見聞きできた珍しい種類である。でも、当担当者の耳には “もう届かない” 小さくて高い声であった。体力と共に老いてゆく、わが聴力が恨めしい。さらに講師の細井氏も長年聴いていなかったヒメコオロギも出現した。他の人には、その名も初めての珍種である。
ウラギンシジミ♂
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今回、気がついたことの一つは、前記スズムシ、マツムシ、それにカンタンが非常に増えてきたことである。”鳴き虫” ファンには、嬉しい、歓迎すべきことだが、この遷移状況は続くのであろうか ?
”鳴き虫” ではないが、目立った昆虫を紹介しよう。とは言っても、わずか 2mmほどのメダカナガカメムシ(目高長亀虫)である。彼らは、クズの葉裏で大群衆をなしていた。多勢で葉汁を吸うものだから、夏だというのにクズの葉は黄白色を呈している。でも、枯れるほどでもないから、アメリカに送って彼の地にはびこるクズを退治させるわけにはゆかないだろう。
昆虫ではないが、美しいナガコガネグモの行動も面白かった。網上のクモを棒で突くと、呼糸を伝ってオギの支持葉に逃れ、しばらく体をブルブルと振動させるのである。獲物が網にかかったのではないから、侵害者に対する脅しなのだろう。 嵐山探虫会 (8月29日) T.U wrote
(photo: T.H)
●出現虫
エンマコオロギ、ミツカドコオロギ、ハラオカメコオロギ、モリオカメコオロギ、ツヅレサセコオロギ、クマコオロギ、シバスズ、マダラスズ、ヒゲシロスズ、カネタタキ、カンタン、スズムシ、マツムシ、アオマツムシ、ヒメコオロギ。
セスジツユムシ、キリギリス、カヤキリ、オナガササキリ、クツワムシ。
イボバッタ、ショウリョウバッタ、オンブバッタ、ツチイナゴ。
ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ。
メダカナガカメムシ、ホシハラビロカメムシ、マルカメムシ、ホソヘリカメムシ。
ルリシジミ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ、コムラサキ、ヒメウラナミジャノメ。
ハグロトンボ、ギンヤンマ、オニヤンマ、シオカラトンボ。
キイロスズメバチ、フタモンアシナガバチ。42種
●出現鳥
カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、ゴイサギ、ササゴイ、キジバト、カワセミ、ヒヨドリ、モズ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス 13種
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