キセキレイ Motacilla cinerea Gray Wagtai 日本産は1亜種 (M. c. robusta) L20 W26 留鳥(東北北部以北では夏鳥)
担当を含めて7人のこじんまりした探鳥会になった。この時期、多種類の鳥はあまり期待できないので、山野草の花を観賞しながら鳥見をすることにする。
叡電の貴船口駅から貴船に向かって歩き始めて間もなく、スズムシバナの花が咲いていた。キツネノマゴ科の草本で、花は朝開いて午後には散ってしまうという。貴船川には、カワガラスやキセキレイの姿がちらほら。
料亭が立ち並ぶ貴船を過ぎると自動車の数が急に減り、歩きやすくなる。貴船神社の奥宮に立ち寄った後、芹生への車道を登ってゆく。
やがて、奥貴船橋に到着。滝谷峠へ分かれる山道の脇で、野生化したサンシチソウ(キク科)が鮮やかな黄色の花を開いていた。江戸時代初期に中国から渡来した薬草で、葉は虫刺されや止血に使われ、根は強壮薬になるという。
サンシチソウ Gynura japonica Makino キク科
少し進んで、アソガ谷に入る。群生しているミカエリソウの花が満開である。おや!前方の枝に止まった鳥は? キビタキの雌だった。道の脇にトリカブトの1種、キタヤマブシが美しい花をつけている。「きれいな花には毒がある」と参加者のつぶやき。
キタヤマブシ Aconitum japonicum Thunb. var. eizanense (Nakai) Tamura
キンポウゲ科トリカブト属
「左の杉林にシジュウカラの群れが…」と双眼鏡を向けると、何とキバシリが5羽ほど混じっているではないか! 杉の幹を「走る」姿を全員が堪能した。アソガ谷を詰めて旧花背峠に到着したのがちょうど正午、ここで昼食とする。
エネルギーを補給して元気が出たところで、天狗杉への登りにかかる。最初は急坂だが、すぐになだらかな歩きやすい道になる。あたりには一面に芝栗が落ちている。山の恵みを拾いながら837メートルの山頂へ。眺望はないが、雑木林の中の静かなピークである。
休憩後、北東尾根を進み、開けた草地で約1時間、空を眺めることにする。しかし、期待したタカは全く飛ばなかった。コムクドリの幼鳥が1羽、枯木の枝に少時止まったが、見たのは担当一人。参加者に見てもらえず、心残りだった。
ここから先、花背峠のバス停までは10分ほど。バス停に着いてから鳥合せを行い、無事探鳥会を終了した。
貴船アソガ谷~天狗杉探鳥会 (10月4日) Σ
●キジバト、アカゲラ、コゲラ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、カワガラス、キビタキ、シジュウカラ、キバシリ、メジロ、コムクドリ、カケス、ハシブトガラス 14種
スズムシバナ(スズムシソウ) Strobilanthes oligantha Miq.
キツネノマゴ科イセハナビ属
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