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スズメが死ぬと人も死ぬ

一般的にはスズメは稲を食べるので害鳥と思われています。しかし、その逆であることを中国の歴史が証明しています。
1955年、中国はスズメをネズミ、ハエ、カとともに「四害」に指定し、大規模な撲滅運動を展開しました。年間11億羽ものスズメが駆除されたそうです。
ところが、1960年にはスズメを四害から除外します。理由は、スズメの激減によって虫による農作物の被害が甚大になったから。
スズメは稲だけでなく、子育て期にはタンパク質豊富な虫を食べます。そのスズメがいなくなれば、農地は虫の天国。稲だけでなく野菜など他の農作物に被害が拡大したため、スズメを四害から除外したわけです。

この「四害撲滅運動」は毛沢東が進めた「大躍進政策」の一環として行われたのですが、他の農業政策の失敗もあって、2000万人以上の国民が餓死したと言われています。
スズメを四害から除外してもすぐには数が回復しないので、ソ連からスズメを移入したという話も伝わっています。
毛沢東はこの失敗の責任をとって国家主席を辞任。第2代主席となった劉少奇は、大躍進政策を「三分の天災、七分の人災」と分析し、失敗を認めたそうです。
スズメが大量に死ぬと、人間が餓死するという恐ろしい結末に至るわけです。突き詰めて言えば、「生物の多様性」という概念の中に、植物や動物だけでなくホモ・サピエンスも含めて考えるべきだということでしょうか。

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