巨椋干拓田でタマシギが繁殖しました。ご存知のように、この鳥はかなり変わっていて、一妻多夫である上に、メスは子育てせずオスだけが子どもの世話をします。
一妻多夫でオス親のみが子育てする鳥はタマシギのほかにアメリカイソシギとアメリカレンカクなどがいるそうですが、タマシギがこの2種と違うのは雌雄別色であること。しかも、他の雌雄別色の鳥とは逆に、メスが派手、オスが地味。こんな鳥は世界中を探しても他にいないでしょう。
南西諸島に生息するミフウズラも一妻多夫・オス親のみの子育て・雌雄別色ですが、図鑑で見る限りオスとメスの色の差はそれほど顕著ではありません。
タマシギの雌雄逆転は行動にも表れていて、メスが主導的に動き、オスはその後に従うという「婦唱夫随」型。下の動画の最後のシーンでも、近くにいたオオジシギを威嚇するのはメスです。
雌雄の役割がなぜ逆転したのか、気になって調べてみましたが、よく分かりません。いくつか仮設があるようですが、まだ決着していないようです。
オス親のみが子育てする一夫一妻の鳥もいて、ニュージーランドの国鳥キウィもこのタイプ。タマシギ、ミフウズラ、アメリカイソシギ、アメリカレンカク、キウィに共通するのは、歩行性と地上営巣。飛ぶよりも歩く方が得意で、巣も地上に作ります。
もう一つの共通点は早成性。つまり、ヒナの生育が早いこと。これらの要因が複雑にからみあって、タマシギみたいな変わった鳥が生まれたのでしょう。
タマシギのオスの「婦唱夫随」行動を見て、「同病相哀れむ」気持ちになる恐妻家バーダーも多いのではないでしょうか(笑)。
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