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鳥に見る日中韓関係

多くの国が国鳥を定めています。アメリカはハクトウワシ、ニュージーランドはキーウィ、日本はキジ、韓国はカササギ…。
中国も国鳥を選定するべく、トキを候補に上げましたが、ご存知のようにトキの学名はNipponia nippon。「日本」という名の鳥をシンボルにするわけにはいかないので、学名の変更を申し入れたものの、受け入れられなかったことから、トキ国鳥案は見送られました。
その後、北京オリンピックと上海万博の開催を機に、再び国鳥を選定することになりました。国家林業局と野生動物保護協会が10種類の候補を上げてインターネット投票を実施したところ、投票総数の65%、約330万票を獲得したのはタンチョウ。
ところが、タンチョウは学名がGrus japonensis、英名がJapanese crane。いずれも「日本のツル」という名前の鳥を国鳥にはできないので、またしても見送られました。
結局、オシドリに落ち着いたようです。オシドリの英名はMandarin Duck。「マンダリン」とは中国清朝の高級官僚のこと。その正装がオレンジ色だったことからオシドリの名前になったのです。

    

トキもタンチョウも日本より中国での分布域の方が広いのですが、中国にとって不運なことに、たまたまヨーロッパの博物学者が日本で標本を採取して命名したために、日本の専売特許みたいになったわけです。
そのトキは日本では絶滅し、中国から譲り受けた個体で人工繁殖させました。さらに言えば、韓国の国鳥カササギは、秀吉が朝鮮半島に侵攻した際に持ち帰ったために九州でも生息するようになりました。
ひるがえって日本は、キジを国鳥に定めておきながら、狩猟鳥に指定しています。趣味として鉄砲で国鳥を撃ち殺しても咎められない珍しい国です。
それだけでは足りなかったようで、韓国からコウライキジを移入して放鳥しています。現在、この移入種と在来のキジが交雑してハイブリッド化が進んでいるそうです。
日本と中国・韓国は、ナントカ島の領有権や実効支配をめぐって対立していますが、この国鳥の話をオーバーラップさせれば、何か解決のヒントが見つかるのではないでしょうか。

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