以前、「色の名の鳥」というタイトルで、名前に色がついた鳥が191種、全体の3分の1いることをご紹介しました。では、さえずりなど声や音が名前になった鳥はどれくらいいるだろうと思って調べてみました。
この音の命名法には2通りあって、1つは声をそのまま名前にした擬声語タイプ。例えば、カッコウ、ジュウイチ、ホトトギスなど。中には、声と姿が入れ替わっているブッポウソウもいます。
面白いのはセンダイムシクイ。「チヨチヨ」という声を「千代千代」と表記し、その「千代」を「センダイ」と読ませる高等テクニック。
欧米にもそういうハイレベルなネーミングがあります。チュウシャクシギの英名はWhimbrelですが、別名はSeven Whistler(7つの笛吹き)。飛び立つ際に「ピピピピピピピ」と笛のような声を7回発するからだそうです。
「本当かな?」と気になって、自分の耳で確かめるべく、チュウシャクシギの群れがいる大阪府南部の河口へ行ってきました。動画の最後、音量が低いですが、飛び立つとき確かに「ピ」が7回聞こえます。
話を元に戻して、擬声語の命名はこのほかに、ヒヨドリ、ビンズイ、オオジュリンがあります。アオバトの由来は声の「アオーアオー」と色の「あお(緑)」の両方考えられますが、多分色でしょう。
もう1つの命名法は、声を何かの音に例える比喩タイプ。例えば、ウミネコ、ライチョウ、コマドリ、ウソ(口笛の古語)など。トケン類は全4種すべて音の命名で、前述のようにカッコウ、ジュウイチ、ホトトギスが擬声語タイプで、ツツドリが比喩タイプ。
ちょっと凝ったネーミングは、「ツキヒホシ、ホイホイホイ」のサンコウチョウと、「カッ、カッ」という声を火打ち石の音に例えたジョウビタキ。サンショウクイもしゃれたネーミングで、「ピリリ、ピリリ」というさえずりを山椒の食感に例える言語感覚には脱帽します。
日本人のネーミングセンスも秀逸ですが、チュウシャクシギの声を数えてSeven Whistlerと命名するイギリス人もなかなかコシャクです(笑)。
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