古代ギリシャの医者・ヒポクラテスは「医学の父」とか「医聖」と呼ばれていて、死後2400年の今も「ヒポクラテスの誓い」が医師の倫理として受け継がれているようです。
9項目の「誓い」には、「依頼されても人を殺す薬を与えない」とか「市民と奴隷の相違を問わず医術を行う」「患者の秘密を遵守する」などが掲げてあります。
生地であるギリシャのコス島にはプラタナスの巨樹があり、その下で弟子たちに医学を教えたことから、「ヒポクラテスの木」として現在も保存されています。
その「ヒポクラテスの木」の末裔が、日本の医学関係者によって持ち帰られ、あるいはギリシャから贈られ、各地の病院や医系大学の敷地に植えられています。京都大学医学部付属病院にも2株あります。
昭和33年の卒業生が持ち帰って寄贈した「ヒポクラテスの木」
寄贈者は京都でも指折りの巨大病院グループの会長
プラタナスは京都の烏丸通をはじめ日本全国の街路樹として使われていますが、ほとんどはモミジバスズカケノキかアメリカスズカケノキで、「ヒポクラテスの木」はスズカケノキ。写真のように葉の切れ込みが深く、街路樹の葉とは少し形状が異なります。
日本には9系統の「ヒポクラテスの木」があるそうです。つまり、9人の医学関係者がギリシャから持ち帰ったり、ギリシャの友好団体から寄贈されたわけです。
そのすべての株を調べている人がいて、その調査結果によると、日本には250株が移入され、そのうち95株の生存が確認されています。
ただし、すべての株が現地の原木と同じDNAを持つかどうかは調査できていないとのこと。本物の「ヒポクラテスの木」の実から育ったもののほか、ギリシャで育った別の株も混じっているようです。
いずれにしても、2400年前の医者の倫理がゆかりの木とともに受け継がれていることは興味深いですね。
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