「カモがネギを背負って来る」という諺があるように、昔は野生のカモを普通に食べていました。現在は捕獲が禁止されているので、合鴨やアヒルなど家禽の肉が鴨肉として販売されています。
しかし、野鳥保護を標榜する「日本野鳥の会」の会員としては不謹慎と思いつつ、「野生のカモはどんな味なんだろう?」とか「カモにもいろいろ種類があるけど、どれが一番おいしんだろう?」という興味を禁じえません(笑)。
実際に食べ比べるわけにいかないので、過去の資料を探すと、カモの味に関する記述がありました。カモの研究家である黒田長禮(ながみち)博士の著書によると、「オカヨシガモが一番おいしく、ついでマガモ、コガモの順」らしいです。
一番おいしいオカヨシガモ
ちなみに、黒田博士は「酒は飲め飲め~」の「黒田節」で知られる福岡・黒田藩14代目当主。その長男である黒田長久氏も鳥類学者で、以前の日本野鳥の会の会長でした。その長久博士の著書『愛鳥譜』には次のように書いてあります。
「カモは植物性の餌を多く採るものほどうまいといいます。ですから早く渡ってきて、例えば鴨場で長く穀類を食べたカモの方が銃で捕ったカモよりもおいしい。父はオカヨシガモが「カモ類中もっとも美味といわれている」と書いていますが、数の少ないカモなので私は味わっていません。父自身はオナガガモをいちばん好んだのですが、私はコガモが好きでした。コガモは体が小さいだけに味が濃いように思います。一般に喜ばれるのはアヒルの先祖のマガモでしょうか。少し大味のような気がします。植物性の餌摂取率マガモ99%、コガモ98%ですが、この辺になると好みですね。もっともどんなカモにも個体差があって、まずいとされているカモでも長く餌付けしたものはおいしく、うまいカモでさえ渡ってきた10月ごろはみなまずかったそうです」
長久博士が好んだというコガモ
やっぱり草食系のカモの方がおいしいわけですね。私もカモを観察している時、プックリ膨らんだコガモの胸や脇腹を見るといつも「おいしそう!」と思います(笑)。
次の観察会は「探鳥会ガイド」をクリック