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「正直の神様」の嘘

毎年1月25日に大阪の天満宮で「鷽替(うそかえ)神事」という奇妙な行事が行われます。参拝客がウソの絵札が入ったお守りをもらった後、「替えましょう、替えましょう、嘘を真に替えましょう」と言いながら、お互いに交換し合います。
去年1年間についた嘘を、ウソに託して罪滅ぼしするわけです。交換した回数が多いほどご利益があるとされています。

本殿の前でお守りを交換し合う参拝客

交換会が終わり、お守りの封を開けて中に金色の鷽鳥が入っていると賞品が進呈されるという仕組み。北野天満宮にはないようですが、各地の天満宮で似たような行事が催されており、絵札ではなく木彫りのウソを使う神社もあります。
大阪天満宮の説明によると、天神さん(=菅原道真公)は「学問の神様」であると同時に「正直の神様」でもあり、ウソが天神さんの愛した梅の木に縁が深いために始まった神事だそうです。

鷽鳥神事のお守り。左の袋の中に右の鷽鳥が入っています

しかし、この「鷽替神事」には3つの嘘があります。まず、ウソの語源は「嘘」ではありません。「うそ吹く」という言葉があるように、ウソは「口笛」の古語で、「フィー、フィー」と口笛のような声で鳴くことに由来します。
2つめの嘘は、お守りの絵。下の写真の実物と比べると、シルエットは似ていますが、色が全く違います。上の絵札のような鳥は、少なくとも日本にはいないでしょう。

3つめは、梅の木に縁があるという嘘。ウソは桜の芽を食べる習性があって、各地の桜守りには嫌われる存在。桜には縁がありますが、梅には特に縁はないはず。
目くじら立てるつもりはないですが、「正直の神様」の神事がこんな嘘だらけでいいのでしょうかね~(笑)。

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