10月中旬、毎月通っているフィールドでは、木の実が色とりどりに結実していました。木は鳥に食べてもらうために実をカラフルにするらしいので、鳥になったつもりでいろいろ食べてみました。
まずサワフタギ。「瑠璃実の牛殺し」という恐ろしい別名がありますが、枝で牛の鼻輪を作ったからで、実に毒があるわけではありません。
噛むと、はじめは無味無臭ですが、しばらくすると大豆のような香ばしい風味が出てきます。その後は青臭い、良く言えばセロリのような風味に変わりました。苦くはないので、食べられなくはないです。
次はタンナサワフタギ。サワフタギと同類ですが、こちらは黒い実が成ります。
最初は酸っぱい味がして、その後は徐々に苦くなってきました。同じ仲間なのに味が全く違うのは新しい発見です。
次はアズキナシ。名前のとおり梨の食感があって食べられることは知っていましたが、実食は初めて。
シャリシャリ感と甘酸っぱい味で、まさに梨のよう。でも、果肉が少なくほとんどが種なので、食用には向いてないです。もう少しすると赤く熟します。
次はミズキ。サンゴのような赤い枝に黒い実が成ります。樹の本には「この2色効果で鳥を呼び寄せる」と書いてあります。
これも最初は甘酸っぱいものの、後で苦くなりました。野鳥写真家・叶内拓哉さんの『野鳥と木の実のハンドブック』には、「アオゲラ、コゲラ、メジロ、キビタキ、オオルリ、クロツグミ、ヒヨドリ、ムクドリなどが好み、鳥が好む木の実ベスト5に入る」とあります。
次はヤマボウシ。これは何度か食べたことがありますが、甘くておいしいです。
皮は赤いですが果肉は黄色でクリームのようにやわらかい。桃のようなバナナのようなフルーツっぽい甘味があります。5~6粒の種を吐き出さなければなりませんが、十分おいしいです。
叶内さんによると鳥には人気がないようで、「ムクドリとオナガ以外の鳥が食べているのを見たことがない」そうですが、私はメジロが食べているのを見たことがあります。
最後はナナカマド。鮮やかな赤い実が風に揺れて、「私を食べて!」とアピールしていました。
実食すると、はじめは甘酸っぱくて「これはいける!」と思いきや、すぐに苦い、というか渋い味に変わりました。叶内さんによると、ツグミ類、アトリ類、ムクドリ類がよく食べるとか。
はじめは酸っぱくて後で苦くなる実が多かったのですが、鳥は酸味や苦味を感じないのでしょうか。メジロはミカンは食べるのにレモンは食べないそうですから、それなりの味覚はあるわけですね。
また、鳥は辛味を感じないので、リス除けに辛いものを配合した野鳥用の餌もあるようです。肉食・魚食・草食など食性によって違うのでしょうが、鳥の味覚はどうなっているのでしょう?
なお、ヤマボウシは飲み込みましたが、他の実は試食後すべて吐き出しました。舌に苦味が残った場合は、お茶で口をすすぎました。また、エゴノキやハクウンボクの実は有毒と知っていたので口にしませんでした。真似しない方がいいと思います。
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