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『鳥類の分類 傾向と対策』

●鳥学講演会「鳥関係者用『鳥類の分類 傾向と対策』2010年版」
日時:2010年7月10日 午後1時~午後4時
場所:大阪市立自然史博物館集会室(クリック)
“集会室”への行き方などは博物館のインフォメーションでお尋ね下さい。
講師:梶田 学氏
参加費 : 無料

講演要旨:
 日本における鳥の分け方、2010年度の『傾向』は、ずばり「細分(さいぶん)」です。この傾向は近年、継続していますが、昨年のMark Brazilさん著「Birdsof East Asia」の出版などで一層拍車がかかっているようです。分類で言うところの「細分」は、いままでひとつの種として扱われていた鳥を二つ以上の種に分けちゃうことですが、いまや日本の鳥は、細分によってどんどん種数が増加しています。例えば、先のあげた図鑑では日本に生息するシジュウカラもキビタキもツグミもサンショウクイも今では各々2つの種となっていたりします。しかも図鑑等によって分けたり、分けなかったりという状況ですから、本年も鳥関係者の頭の中は少々混乱するものと予想されます。なお、これらの「新しい分け方」については、主に以下の二つのケースがごちゃ混ぜになっています。

1. 調査研究により新たな情報が得られた結果、種を分けた方が良いと判断された
2. 図鑑等の著者により「私は分けた方が良いと思うから」と判断された

 両方のケースを信じるか、いずれか片方のケースだけを採用するか、もしくはどちらも信じずに独自の分類を貫くか、それは個人の自由ですが、一応の『対策』を示しておくと、2の様なケースを知識(あー、そんな分け方もあるのか)として楽しみ、時々他人に披露して優越感も味わったりしつつ、分類としては1のケースのうち根拠のしっかりしたものを採用し、根拠の希薄なものは「保留」としておくのが無難だと思います。種を分ける根拠については、個々の論文を読むのが確実ですが、面倒くさいようなら誰か詳しい人に聞いてしまいましょう。ちなみに根拠としては、体の形や色柄の違い、さえずりの違い、分布が重なっているのに交雑が起こらない、DNAを調べたら結構違っていた、などが発表されていますが、形、声、DNAについては、どの程度異なっていたら両者を別の種とするかという点について、未だにケンケンガクガクなので注意が必要です。いずれにせよ、新しい図鑑が出版される度、新たな種の分け方にライフリストが増えた減ったと一喜一憂するのもよし、なぜこんな風に分けるんだろうと探究するのも、また楽しからず乎。どうぞ皆さん、この機会を入り口にして、とっても愉快な鳥の分類に自分の首も突っ込んでみて下さい。

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