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クレイマー・バード

巨椋では今シーズンもタマシギがあちこちで見られました。下の動画は、オスとメスのペア。
ご存知のようにタマシギの習性は変わっていて、一妻多夫でヒナはオスが巨椋では単独で育てます。体色も他の鳥とは逆で、派手な方がメス、地味な方がオス。

    

タマシギは日本で繁殖するのでこの習性はよく知られていますが、調べてみると、日本以外で繁殖するシギにもオスが子育てする種類があります。
例えば、ツルシギ。タマシギと違って雌雄同色ですが、同じく一妻多夫で子育てはオスの役目。そのツルシギも、繁殖地の北極圏から越冬地の東南アジアへ渡る途中にこの巨椋に立ち寄ってくれました。

    

もう1種、アカエリヒレアシシギも子育てはオスの役割。こちらは一妻多夫というわけではないようですが、タマシギと同じくメスが派手で、オスは地味。動画の個体は白い部分が多く、私を恐れず近づいてきたので幼鳥だと思います。
ということは、アリューシャン列島あたりで生まれて、越冬地のインドネシアへ向う途中、巨椋で羽を休めていたわけです。

    

育児する男性を「イクメン」と言いますが、しゃれっ気も含蓄もない言葉で好きになれません。何かいい言葉がないかなと考えて、ひとつ思いつきました。
ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが離婚した夫婦を演じる『クレイマー、クレイマー』という映画がありました。1980年のアカデミー賞主要5部門を受賞したこの作品の中で、ダスティン・ホフマンは子育てに奮闘します。
原題は『Kramar vs. Kramer』。同じ名前の2人が争う裁判、つまり離婚裁判を意味するそうです。
ダスティン・ホフマンの熱演にちなんで、オスが子育てする鳥を私は「クレイマー・バード」と呼ぶことにします。
タマシギ、ツルシギ、アカエリヒレアシシギのほか、オバシギやコオバシギも「クレイマー・バード」のようです。

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