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人間はいつ托卵を知ったか?

カッコウやホトトギス、ツツドリ、ジュウイチの托卵行動はよく知られていますが、人間はいつごろからこの生態に気づいていたのでしょう? 
私は双眼鏡などの光学機器が発明されて以降だろうと思っていましたが、驚くべきことに、『万葉集』に托卵を詠んだ歌があります。
うぐいすの生卵(かいこ)の中に ほととぎすひとり生まれて
己(な)が父に似ては鳴かず 己が母に似ては鳴かず…
「ウグイスの巣の中でホトトギスが1羽生まれたが、父親に似た声では鳴かないし、母親に似た声でも鳴かない」という歌です。作者は高橋虫麻呂(たかはしのむしまろ)。
『万葉集』が編纂されたのは6~7世紀。双眼鏡も望遠鏡もカメラもないのにホトトギスの托卵を知っていたわけです。
ただ、この歌の前には「霍公鳥を詠める一首」というイントロダクションがあり、「霍公鳥」はカッコウを意味するそうです。イントロで「カッコウ」と紹介しながら、歌の中では「保登等藝須(ホトトギス)」と表記しているのです。当時はカッコウとホトトギスを同一種と認識していたからではないかという人もいます。

    
いずれにしても、万葉人はトケン類の托卵行動を知っていたわけですが、驚くのはまだ早くて、世界的にはもっと昔、紀元前4世紀にアリストテレスが『動物誌』の中でカッコウの托卵について書いています。
「カッコウも卵を産むには産むが、巣を作らずに産むのであって、ときには自分よりも小さいいろいろな鳥の巣の中に、その鳥の卵を食ってから、卵を産むこともあるが、特にモリバトの巣の中に、やはりその卵を食ってから、産むのである」。
肉眼でしか鳥の行動を見られなかった当時、こんな細かいところまでよく観察できたものだと感心します。
それに引き替え、双眼鏡や望遠鏡、さらには1000mmのレンズ付きカメラで鳥の動きを記録していながら、いまだにカッコウとホトトギスの区別がつかない私は何なんでしょう。

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