ここ宗像神社の600年の樹齢を重ねたクスノキに、アオバズクがやって来て営巣し、雛を育てるという繁殖行動をいったいいつ頃からしていたのだろう。適当な大きさのうろが出来てからだろうから、400年前から?500年前から? 400年前といえば「関ケ原の合戦」のころだ。当時の人々も気づいて、以来そっと見守っていて現在に続いているのだろう。ここ数年、ここへやっては来ていても繁殖活動はうまくいかなかった。今年はどうだったか。
成鳥は、いた。ほんに数日前まで、巣穴の前の定位置に番をするように枝に1羽は止まっていたのだ。番をするのは雄といわれている。なのに、当日は、2羽とも巣から離れて、つまり、抱卵しているはずの雌まで姿を現していた。一方は木のはるか上に、もう一方は私たちのすぐ目の前に。結局、今年も繁殖は成功しなかったもようだ。
夕闇が迫り、見上げる木々が黒々としてきた頃、それまで右を見、左に首を回していた彼らは音もなく飛び立ち、別の枝へ移った。そのたびに、観察に集まった我らは、双眼鏡や望遠鏡を振り回して、姿を追い求めた。
本来ならいまの時期、雛が巣立ちをしていて、それへの給餌や雛の声が聞かれたりしたはずだったのに、参加の皆さんは多いに落胆されていたようだ。巣立ち雛が見られる苑内北部へ行かないのか、と問いかけてくる参加者もいた。
さて、来年のこの観察会はどうしたものか。 御所アオバズク観察会 2015年7月25日 S
●見聞きした鳥
キジバト、アオバズク、ツバメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、スズメ、ムクドリ 7種
追記
観察会の4日後、29日に雛3羽が巣立ちしました。2親と一緒に木のてっぺん近くで休んでいるのが見られます(7/30)。今年も「繁殖に失敗した」と担当者が説明しましたが、間違いでした。参加された方々にはお詫びいたします。
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