日本で観察できる主なフクロウ類は8種類。このうちフクロウとシマフクロウ以外は「○○○○ズク」と名付けられています。「ズク」は漢字で「木菟」。ウサギのような耳を持った鳥が木に止まっている姿を表しているのでしょう。
トラフズクをモデルにしたといわれる「となりのトトロ」にも耳があります。
正確にはフクロウ類の聴覚器官は顔面の目の横あたりにあって、耳のように見える部位は耳角(うかく)と呼ばれています。
この耳角が小さいので「小耳木菟(コミミズク)」と命名されたフクロウが、この冬、淀川の河川敷に7~8羽まとまって飛来し、連日多くのバードウォッチャーやフォトグラファーを集めています。
私も先日、2度目の観察に行ってきました。杭の上にとまっている姿には、小さい耳が出ています。
この耳角が聴覚器官でないとすると、何のためにあるのでしょう?
調べてみると、いくつかの説があります。一つは、カムフラージュ説。耳を立てることによって木の枝を模しているというもの。
しかし、それなら常に耳を立てておくべきですが、「木の菟」はウサギと同じように耳を立てたり寝かしたりします。
「なるほど」と納得したのは、ペットとして外来種のフクロウを飼っている人の見解。そのフクロウは眠る時に耳角を立てることが多いそうです。
以前「フクロウの首」でご紹介したように、起きているときは首を左右270°回転させて音をキャッチしますが、眠っているときは首を回せません。睡眠中に後方の音をキャッチするために耳を立てているのではないかという説です。
その人の説明では、耳角は本来の聴覚器官の真上あたりに位置し、根本に少し窪みがあるそうです。
しかし、フクロウの耳にはもう一つ疑問があります。フクロウとアオバズクには耳角がありませんが、これはなぜか? 「後方の音キャッチ」説ではこの疑問は解けません。
フクロウとアオバズクには生態的に後方の音をキャッチする必要がないのか、あるいは、目立たないだけで耳角と同じ働きをする部位があるのか。疑問は次々に湧いてきます。
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