「宇治」という地名は、第15代応神天皇の皇太子・菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)に由来すると言われています。市内には、宮内庁が管轄するこの皇子の墓もあります。
本来なら第16代天皇に即位するはずでしたが、実際には異母兄弟の大鷦鷯尊(おおさざきのみこと)が皇位を継承して仁徳天皇を名乗ります。
『古事記』や『日本書紀』には、政争を避けるために自殺して皇位を譲ったとか、仁徳天皇に謀殺されたという記述があるようです。
どちらにしても、宇治にとって仁徳天皇は政敵であり、憎き存在なわけです。その仁徳天皇の昔の名前・大鷦鷯(おおさざき)の「サザキ」とはミソサザイのこと。
仁徳天皇が生まれたとき、ミミズクが産屋に飛び込み、同じ日に家臣の妻の出産の際にミソサザイが産屋に飛び込んできたので、それを吉兆と考えた応神天皇が鳥の名を交換してわが子の名前にした、という話が『日本書紀』に記されているそうです。
つまり、仁徳天皇=ミソサザイなのです。こうした経緯から、宇治ではミソサザイは不吉な鳥とされていて、「ミソサザイが鳴くと悪いことが起こる」と言い伝えられてきたそうです。
宇治市民の私としては、今後はミソサザイがさえずっている場所では、耳に蓋をして通り過ぎた方がいいようです。
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