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フクロウの首

フクロウは「不苦労」とか「福来郎」と書いて幸せのシンボルになっています。また、「借金で首が回らない」という言葉に対して、首がよく回るフクロウは商売上の縁起物に仕立てられています。
実際、フクロウの首はどれくらい回るのか? 調べてみると、左右にそれぞれ270°回るそうです。合計540°回転するわけです。ちなみに、人間の首は左右それぞれ60°。
下の動画は、この冬たくさんのバードウォッチャーを楽しませてくれた淀川のコミミズク。これを見ても少なくとも片方180°は回っています。

    

「こんなに首を回して、なぜ血流が途切れないのだろう?」と疑問を抱いたアメリカの学者が、自然死したシロフクロウとアメリカワシミミズクを調べました。そして、人間や他の鳥とは異なる血管の構造を発見しました。
まず、椎骨動脈が他の鳥よりも頸部に入り込み、大きなたるみを持っているそうです。首を回しても血管が伸びるわけです。
また、椎骨動脈と頸動脈の間にバイパスのような血管があって、一方の動脈が遮断されると、もう一方の動脈から血液が供給される仕組みになっているそうです。
しかも、顎の下の血管が膨らんで一時的に血液を貯め、首を回転させたときに脳や目の機能に必要な血流を確保しているとのこと。こうした仕組みによって、フクロウは血流に支障なく首を270°も回すことができるわけです。
しかし、よく考えれば、フクロウに限らず鳥は首を回します。小鳥でも120°くらいは回しています。ツルやサギなど首の長い鳥はもっと回すでしょう。
鳥は人間のように目玉を左右に動かせないので、広い視野を確保するには首を回さなければならないという要因もあるようです。
それに加えて(私の推測ですが)、フクロウの聴覚は正面向きなので、広範囲に獲物の音をキャッチするには、レーダーのように常に首を回転させる必要があるのではないでしょうか。

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