『ハムレット』や『ロミオとジュリエット』などシェイクスピアの作品には頻繁に鳥が登場するそうです。
『シェイクスピアの鳥』『シェイクスピアの鳥類学』という研究書もあって、それらを読むと、想像以上にたくさんの種類が、想像以上に頻繁に登場します。
例えば、『ヴェニスの商人』の4幕2場には以下のくだりがあります。
きっとカラスの歌だって、ヒバリのと美しさは変わらないんだわ。ナイチンゲールだって、昼間、ガチョウがガァガァわめいてるときに歌えば、ミソサザイくらいにしか思われないんじゃないかしら。
特に多いのは、ここにも登場するヒバリ。『ロミオとジュリエット』で二人が夜通しのデートを楽しんだ早朝、ヒバリがさえずり始めるシーン(3幕5場)でジュリエットが語ります。
ヒバリですわ、あんなに調子はずれな鳴き方で、騒々しく、かん高く鳴きわめくんですもの。ヒバリの声は気持ちよい節回しだといいますが、このヒバリは違いますわ、私たちの逢瀬の邪魔をするんですもの。
これらをはじめ、ヒバリは15編の戯曲に登場するそうです。
ミソサザイは『マクベス』にも登場します。
主人は私どもを愛してはいないのです。夫婦の愛情がないのです。小鳥の中でも一番小さなあのミソサザイでさえ、巣にいる雛を守るためには、フクロウを相手に死にものぐるいで戦うではありませんか。
ミソサザイが最小の鳥であることをシェイクスピアは知っていたわけです。
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別の作品では、カッコウの托卵の話も出てきます。ワシやタカなど猛禽類も含めて、全部で約50種類が登場するとのこと。この大作家はバードウォッチャーだったのでしょうか?
否、いくら本場のイギリスとはいえ、バードウォッチングという趣味が生まれるのは19世紀末。1616年に亡くなったシェイクスピアにその経験はないはずです。
もともとナチュラリストで、鳥に限らず植物の造詣も深く、博物学者でもあったようです。それに加えて、趣味が鷹狩りであったことから、獲物である鳥の知識を蓄えたのではないかと推測されています。
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