マスメディアの報道ですでにご存知でしょうが、6月末、宇治川の鵜飼に使われているウミウにヒナが誕生しました。5月下旬から6月初めにかけて5個の卵を産み、そのうちの1個が孵化したのです。
極めて珍しいことで、100羽以上のウミウがいる長良川の鵜匠(75歳)は「鵜は卵を産まないもの」と長年信じていたとのこと。専門家も「飼育中のウミウが孵化するのはおそらく初めて」と話しています。
その後、ヒナは順調に育ち、鵜匠のブログによると、7月12日現在326グラムまで成長。毎日、体重に近い量の餌(ペースト状にしたアジやイワシ)を食べているそうです。
この珍事のおかげで宇治川の鵜飼の人気も高まったようで、先日見に行ったら、平日にもかかわらず100人近い観光客が乗船していました。
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このニュースで、鵜飼に使われているのはカワウではなくウミウであることが広く知られました。鵜飼は宇治川のほか嵐山など全国に14カ所ありますが、そこで飼育されている鵜のすべてが茨城県日立市の海岸で捕獲されたウミウ。宇治川にも今年2羽の新入りが加わりました。
日本の鵜飼はウミウですが、中国ではカワウを使うそうです。中国では現在でも鵜飼が漁業として行われていて、漁師は冬はカワウを、夏は網を使って魚を獲るとのこと。日本では夏の風物詩ですが、中国では冬なんですね。
日本でも元々はカワウを使っていたようですが、一時カワウが激減して捕獲が難しくなったためウミウになったとのこと。
今でこそカワウは珍しくとも何ともないですが、30~40年前はカワウは珍鳥で、わざわざ京都から知多半島の鵜の山まで見に行ったという話をベテラン会員から聞きました。
カワウからウミウに変わったもう一つの理由として、徒歩で行う「放ち鵜飼」から舟に乗って行う「舟鵜飼」に変化する過程で、より大きいウミウの方が好都合だったからではないかと、ある研究者は推測しています。
ちなみに、鵜飼はペルーでも行われていたらしく、1400年前の土器にその絵が描かれているとのこと。さらに、ヨーロッパでも一時スポーツとして鵜飼が行われたようで、ルイ13世の前で鵜飼が実演されたという記録が残っているそうです。
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