昨年の「モニタリングサイト1000」の陸生鳥類調査の結果が公表されました。これは環境省の事業で、日本の代表的な生態系を1000カ所選んで野鳥を100年間観測しながら、その結果を生物多様性の保全に生かすのが目的。
約5年ごとに実施され、今回は森林サイト71、草原サイト13が選ばれました。私も前回に続いて芦生での調査をお手伝いしました。
その結果によると、森林サイトで最も出現率が高い鳥はウグイスで95.2%。シジュウカラの93.5%を上回っています。草原サイトの過去5年間の出現率でも、ハシブトガラス(87.7%)を抑えて89.0%でトップ。
つまり、日本のほとんどの野山でウグイスは見聞できるということです。
しかし、芦生ではウグイスは記録されていません。シカの食害でササが壊滅状態となったため、藪の中で繁殖する野鳥がいなくなったのです。
その特殊事情を差し引いても、ウグイスが最も見聞頻度が高いという結果は、関西のバードウォッチャーの実感とは違うのではないでしょうか。ウグイスよりもヒヨドリやヤマガラ、シジュウカラの方が頻度が高いように思います。
調査が行われたのが繁殖期なので、大きな声でさえずるウグイスが記録されやすいという事情があるのかも知れません。
さすがに、平均優先度(個体数の割合)ではヒヨドリが12.2%でトップ。以後、ウグイス6.1%、シジュウカラ5.7%と続きます。つまり、ウグイスはどこにでもいるけれど、数ではヒヨドリの方が多い(ウグイスの2倍)ということです。
興味ある方のために、森林サイトの出現率ベスト10を記しておきます。
ウグイス(95.2%)、シジュウカラ(93.5%)、コゲラ(90.3%)、ハシブトガラス、ヤマガラ(ともに87.1%)、キビタキ、ヒヨドリ(ともに85.5%)、キジバト(75.8%)、オオルリ(74.2%)、イカル、エナガ、ツツドリ、メジロ(ともに64.5%)。
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