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ゴッホが描いた鳥

昨年の4月~5月、京都市美術館で「ゴッホ展~空白のパリを追う~」が開催されました。
小品や習作が多く、ヒマワリや糸杉などゴッホらしい燃えるような作品がなかったのが残念でしたが、鳥好きには注目すべき展示がありました。『ヤマウズラが飛び立つ麦畑』という作品。

        麦畑の上の小さな黒い影がヤマウズラ

資料によると、この作品を所有していた義妹(弟・テオの未亡人)が、描かれている鳥をヒバリと思い込んでいたため、当初は『ヒバリが飛び立つ麦畑』というタイトルだったものの、その後、自然愛好家が鳥の大きさや頭が黒いこと、低く飛ぶ習性などから「ヤマウズラ」と同定し、それ以降現在のタイトルになったとのこと。
ご丁寧に、作品の横にはヒバリの剥製とヤマウズラの剥製が展示してありました。
ヨーロッパではヒバリのさえずりが「天上から聞こえてくるロマンティックな声」と認識されていて、未亡人もその先入観からヒバリと思い込んだそうです。私にはヒバリのさえずりがロマンティックとは思えませんが、ヨーロッパのヒバリは声が違うのでしょうか。
面白いことに、ゴッホはもう一つ似たような作品を残しています。今回の展示にはなかった『カラスのいる麦畑』。

  こっちの方がゴッホらしいですね(画像はパブリックドメイン)

ところが、この作品に描かれている鳥がカラスである根拠はなく、遺族が公式に認めているタイトルも『黒い鳥のいる麦畑』。展示会や画集によって「カラス」と表記されたり、「黒い鳥」と表記されているそうです。

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