昨年11月24日、京都支部は国交省とともに桂川、宇治川、木津川の3川を巡視しました。目的は、洪水対策として河原に繁茂する樹木を伐採する際、できるかぎり野鳥などの生物多様性を維持するために、樹木をどの程度残すべきかを検討することにあります。
もともと9月下旬に予定されていましたが、9月16日の台風18号で府内に大きな被害が発生し、特に桂川流域は嵐山をはじめ大規模な水害に見舞われたため2カ月延期されました。
水害で樹木がなぎ倒された中州(桂川・祥久橋付近)
流域住民からは「洪水を防ぐためにすべて伐採してほしい」という要望が寄せられており、国交省としても流量確保のためには皆伐が望ましい一方、河川の生物多様性確保のために最低限は残したいと考えていることから、今回の巡視および意見交換会の開催となりました。
皆伐するとこういう殺風景なことになります
当日、支部から6人の役員を含む11人の会員、本部からも自然保護室の葉山室長が参加。国交省からは淀川河川事務所管理課長や3川の出張所長など6名と業者2名が参加。計20名がマイクロバスに同乗して3川を巡視しました。
桂川で4地点、宇治川で4地点、木津川で2地点を視察した後、伏見出張所で意見を交換しました。支部としては、樹木や藪は野鳥の営巣や採餌、隠れ場所として必要なためできるかぎり広範囲に残してほしいと要望しました。
実際に河原の樹木や藪にはどんな鳥が生息しているのか、宇治川の伐採予定地周辺で冬に見られる主な種類を動画でご紹介します。
このほかホオジロ、カワラヒワ、ウグイス、イソヒヨドリなどがいます。キジのような大型の鳥も藪の中にひそんでいます。水辺にはカワセミもいます。夏にはセッカやオオヨシキリもやってきます。
多くの鳥がいるということは、それだけ植物や昆虫などの生物相も多様であることを示しています。都市部に残された貴重な自然はできるだけ広く残すべきです。
支部の要望に対して国交省から、流れに沿って縦半分だけ残したり、伐採エリアと非伐採エリアを交互に設けることは可能という回答が出されました。
本年1月~2月に再度意見交換会を開き、国交省が流量データや将来の想定を示しながら具体的な方法を検討することになりました。
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