巨椋干拓田で30羽ほどのニュウナイスズメの群れに出会いました。スズメの群れに数羽混じっているのは見たことありますが、この種類だけの群れは初めて。
繁殖地は東北~北海道で、京都府では冬鳥ですが、見る機会は少ないです。私も久しぶりでした。
「ニュウナイ」とは何だろうと思って調べると、面白いエピソードに行き当たりました。
平安時代、一条天皇の家臣で名高い歌人でもあった藤原実方(さねかた)は、ライバルと口論した際に相手の冠を奪って投げ捨てるという無礼な振る舞いをしたため、東北地方に左遷された。実方はその怨みと京都への思いを募らせたまま失意のうちに死亡。
すると、御所の内裏(清涼殿)に1羽の雀が入り込み、台盤(食事を盛る台)の飯をついばんで平らげてしまった。人々は、京が恋しい実方の怨念が雀と化して帰ってきたと考えた。そして、「内裏に侵入する雀」から「入内雀」と呼んだ。
東北地方で繁殖し、秋になると関西へ飛来して稲を食べるというニュウナイスズメの生態に由来する伝説でしょう。しかし、この話には続きがあります。
同じ頃、京都の勧学院の住職の夢に雀が現れ、「私は京が恋しくて雀になった実方である。成仏できるよう読経してほしい」と告げた。翌朝、住職は境内で1羽の雀の死骸を見つけた。そして、その霊を弔うために塚を築いた。
この勧学院は京都市左京区に現存し、別名「雀寺」と呼ばれています。雀塚も残っています。ということは、本当にニュウナイスズメが実方の化身であると信じられていたわけですね。
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