宇治川には今年もカワアイサがたくさん飛来しました。上流部でも中流部でも数羽~20羽の群れが浮かんだり潜ったりしています。
このカワアイサのほかに、ウミアイサ、コウライアイサ、ミコアイサの4種類には「アイサ」という名前がついています。下はミコアイサ、別名「パンダガモ」。
なぜ「アイサ」なのか気になったので調べてみると、漢字では「秋沙」と表記し、昔は「あきさ」と呼んでいたものが「あいさ」に転化したとのこと。
秋が去ってから訪れるからとか、繁殖地では秋に去るからとかいろんな説がありますが、語源探索は所詮想像の域を出ないので確証は得られません。ただ、『万葉集』に以下の歌が残っています。
山の際(は)に 渡る秋沙(あきさ)の ゆきて居む その川の瀬に 波立つなゆめ
「山を越えて渡ってきたアイサのために、川よ決して波立たないでおくれ」という意味だそうです。
男女の愛情をアイサに託して歌ったのかなと思いましたが、冒頭に「鳥を詠む」と題されているので、単純に渡り鳥を題材にした歌のようです。
「川」とあるので多分カワアイサのことでしょうが、はるばる渡ってきた水鳥に対するこの気遣い…。鳥に対する万葉人ならでは優しい気持ちが表れています。
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