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室内例会「芦生の鳥~現在・過去・未来~」

 2月11日午後、ラボール京都において、「芦生の鳥~現在・過去・未来~」のタイトルで講演が行われました。講師は梶田学さんで、2001年から南丹市芦生研究林において鳥類標識調査を続けておられ、調査結果と調査の様子をご紹介していただきました。
 芦生研究林は、人工林6%で、二次林がこれに続き、大部分を天然林(ブナ、ミズナラ)が占めています。この環境の中で、60種の野鳥が繁殖し、通過を含めると5月に78種、10月に86種という2つのピークに示されるように、多くの野鳥がこの自然を利用しています。環境の変化で少なくなったコノハズク、アカショウビンなども繁殖し、貴重な自然を残しています。
 しかしながら、シカの個体数の増加に伴い食害(林床のチシマザサなどが食べられる)が広がり、営巣場所の減少によってウグイスが減少しています。このことは、外来種ソウシチョウの侵入を防いでいるようで、笹がないことから定着できないようです。

 秋の渡り鳥を、長治谷のススキ原で標識調査を続けるなかで、通過時期にも早い遅いが見られるとのこと。エゾムシクイは8月中に通過するのに対し、メボソムシクイは9月中旬から11月初旬にかけてと幅があること。アオジやクロジは10月末から11月3日までに集中していること、他方、ノジコは10月中旬にこのススキ原を通過しています。これらの通過鳥は、北海道、富山芦生、広島というルートを行き来していることが、標識調査によって分ってきています。
 このススキ原での標識調査をする中で、シカがススキを食べるようになり、調査地を防御柵で囲わねばならなくなったこと。シカは、ススキを好まないと見られていたのですが、食性が変わったようです。シカの食害によるススキ原の
縮小は通過鳥に影響し、2007年を境に大きく減少したが、2011年11月には回復していると述べられました。
このような標識調査をするなかで、クロジに大小の違いがあることが分ったそうです。因みに芦生では大きい方が繁殖しているとのことです。                   室内例会 2月11日( J )

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 配布資料の表紙には27年前に撮られた地蔵峠の写真が紹介されていた、当時、足繁く芦生に通った私たちとしては大変に懐かしいものだった。今では地蔵峠からの芦生の観察会はできなくなっている。今回の例会を担当した講師は過去に山階鳥類研究所に勤務しておられ、現在は野鳥の標識調査を実施する傍ら「芦生」を見続けてきたという。満員の会場でパワーポイントを使用しながらの2時間はあっという間にすぎた。終了を告げてもイスから人が立とうとしない・・
 平成10年頃から芦生の野鳥生息調査を継続実施している調査保護部 K氏とともに会場に残った方々が集まって、芦生の今後について話し始めた。芦生のデータを集める必要がある・・
今後,芦生の鳥について過去の情報のとりまとめを進めて行く予定なので、皆さまにご協力をお願いすることになると思います。なかむらけいこ

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