夜来の雨が続いていたので「中止宣言」をするつもりで家を出た。ところが電車の途中で雨は上がり、仲間にも出会って、ごく自然に開催の運びとなった。しかし、集まったのは担当の 3人を含めて 6人とは寂しい。でも比叡山ではよくあることだ。
ケーブル山上駅に着くと、京都市街地は雲海の下にある。山合いからは霧が立ち込め、低地を埋めて行く。鳥の声はない。まずは、10月6日の当探鳥会でアトリとマソワの群れに会ったという駅南の広場に足を運ぶ。暫く待つが、杉の木立をヒガラと覚しき小鳥の小群が縫って行った、ぐらい。山側からアトリの単発的な地鳴きが聴こえる。後は静まり返ったまま。
コシアブラ Acanthopanax sciadophylloides Franch. et Savat. ウコギ科
旧スキー場へ向かう。ロープウェイの架線と交差する辺り(八瀬側)からウソの声、数羽の小群とみたが、10羽はいるだろうという。中の1羽が近くの灌木にやって来た。ずず黒い雌であった。彼らは我々を先導して道沿いを上がって行く。旧スキー場の周辺も寂しく、鳥影も声もない。目聡い仲間がやっと無言のホオジロを見つけただけ。あきらめて “つづじが丘” の見晴らし台へ。途中、少し遠いルリビタキらしい声を聴いたが、姿を現したのはジョウビタキの雄だった。その先で、悪声に続いてカケスが姿を見せた。なるほど、天は二物を与えずというが、その通り。でも一物も与えられなかったカラスよりは、ましである。背後の山側の斜面からミソサザイの地鳴き。
ここから先は下り道。府県境までは、よくアトリが群れでヤシャブシゆクマシデの実をつつく姿を楽しませてくれる場所なのだが、今日は全く静か。期待したキバシリの声もしない。鳥の “静寂状態” は山王院から先も続く。椿堂を過ぎて釈迦堂へ。灌木の根際でミソサザイの声。姿は見えず。昼飯の間、先のミソサザイが( ? )小声で囀る。帰路についた途端、あのミソサザイが激しい警戒声を発する。今日は、彼は三種の声を披露したことになる。
西塔駐車場から自動車道を横切り、旧青龍寺道を引き返す。途中の伐木集積地は冬鳥のよい観察場所なのだが、今日はお休み。朝、不毛であった見晴台に期待したが、午後も不発。だが、幸いなことに、朝間違えたロリビタキ雄が近くに姿を現した。一同、最後に満足。探鳥会の終わり近く、エナガの群れが挨拶に現れた。この可愛いしぐさが、せめてもの慰めとなった。
ケープルを降りると、紅葉のカエデの下で激しいシロハラの地鳴き。探鳥会終了後だが、内規に従いこれも出現鳥に加える。 比叡山探鳥会(11月23日) T.U wrote
●見聞きした鳥
マガモ、カルガモ、コサギ、コゲラ、モズ、カケス、ハシボソガラス、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、ミソサザイ、シロハラ、ルリビタキ、ジョウビタキ、キセキレイ、セグロセキレイ、アトリ、ウソ、ホオジロ、アオジ 24種
●節足動物
ザトウムシの一種
●紅葉植物
オオモミジ、イロハモミジ、コハウチワカエデ、ウリハダカエデ、コシアブラ、ダンコウバイなど、
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