メニュー 閉じる

雁が音

お茶の種類の一つに「雁が音(かりがね)」があります。柔らかい茶の葉は玉露など高級な煎茶にしますが、葉の軸や小さな枝が混じった葉は、見た目が悪いので普及品として売られます。これが「雁が音」。

「雁が音」の茶葉。軸や枝が混じっています

何故お茶の名前に鳥が登場するのか? 以前から疑問でした。
宇治のお茶屋さんのWebサイトを見ると、「雁が枝をくわえて飛ぶことにちなんで、枝が混じった茶葉をこう呼びます」と書いてあります。しかし、バーダーには雁が枝をくわえて飛ぶことは信じられません。
雁と枝の話の出所は、江戸時代の『採薬使記』という書物。そこに、以下のような伝説が書いてあるそうです。
雁は北から渡ってくるとき枝をくわえて飛び、疲れるとその枝を海に浮かべて止まって休む。青森県外ケ浜まで来ると、枝を捨ててさらに南へ渡る。そして、春になると再びその枝をくわえて北へ帰る。しかし、帰れなかった雁も多く、浜にはたくさんの枝が残る。この地方の人はその枝を集めて風呂を焚き、帰れなかった雁を供養する。これを「雁風呂」と呼ぶ。

しかし、この話は全くのでっち上げのようで、青森県外ケ浜の人たちは「そんな話は聞いたことがない」と言っているそうです。
真偽はともかく、この話から「雁と枝」がセットになり、枝の混じった茶葉を「雁が音」と呼ぶようになったようです。
では、何故「雁が枝」ではなく、「雁が音」なのでしょう? 枝を集めて雁風呂を焚くと、雁の悲しい声が聞こえたから、という説があります。
ややこしいことに、「カリガネ」という名前のガンもいます。お茶の「雁が音」が先か、鳥の「カリガネ」が先か? また疑問が増えました。

               次の観察会は「探鳥会ガイド」をクリック

カテゴリーの最近の記事