早朝はかなり寒かったが、次第に “鳥見” に恰好な日和となった。この御苑では、数日前にキビタキやムシクイ類が観察されているという。そうこうしてるうちに、近くのイロハモミジにコサメビタキを見た人があった。これらの鳥を求めて、一行 22名、勇んで出発。いつも多いメジロの声が一層激しい。地上近くの草花でヒラ・ヒラする蝶がいる。少し痛んだ、小型のアサギマダラだった。焼き物のフクロウが休むブランコに近づいた時、季節はずれのクマゼミの声がする。四半世紀前の同じ時期に、長谷寺近くの “与岐神社” の森でミンミンゼミを聴いて驚いたことを思い出す。
近衛池にカワセミは見当たらず。代わりに、池端のオオモミジの枝にアオサギがとまり、頻りに枯れ枝を折っている。繁殖期に入ったらしいが、この個体にパートナーはいないらしいという。他にめぼしい鳥はいない。
だが、中山邸跡南側の疎林に、南下中の夏鳥を続々と発見。猛々しさのないタカたちのお陰だ。先ずは、エゾビタキ。続いて可愛いコサメビタキと美しいキビタキの姿が。しかし、誰の眼にも映ったわけではない。いらいらした人たちが東に移動し、アオバズクの防護柵に近づいた途端、柵内の小さな赤松の枝にキビタキの雄。彼は、フライイング・キャッチをしては、また樹下に降りて餌を探した後、元の枝へ戻る。よく見ると、この上の枝には雌もいるではないか ! 初心者もヴェテランも、このガップルを楽しんだ。慧眼けいがんの持ち主がここでは珍しいノビタキを発見。でも、小生は探し得ず。バード・バスの回りに、いつもの写真屋さんの群れ。だが、沐浴する鳥はいない。
コオロギの里に入る。京都迎賓館回りの東壁付近でクサヒバリの声。例年通りだが、鳥の姿はなく、声もしない。実が、すっかり拾われた橡の木を見上げていると、イカルの声が聴こえてきた。小生にとっては今日初めて。当館南の 2本のモクレンで実を探すが、見付からない。しかし、来春咲く花芽がおびただしく付いている。楽しみなことだ。少し東進すると、草むらでチュ・チュと早口で繰り返す舌打ち音がする。畏友いゆうHさんは、さっきから聴こえているという。何だろうと近づくが姿を現さない。一寸目を離した隙に声は止んだ。その時、別の仲間数人が大きな鳥が飛んだという。鳩より大きく、重量感のある姿だった、とも。声と姿が同一個体のものだとすると、思い当たる鳥はいない。果たして、何だったのだろうか ? 暫くは、頭を悩ますことになりそうだ。
ナラタケモドキ Armillaria tabescens キシメジ科 ナラタケ属
この後はヤマガラとセグロセキレイに出会ったぐらいで、九条池に着く。マガモはまだ来ていない。アヒルと孤高の哲学者、アオサギだけ。
京都御苑探鳥会 (10月7日) T.U wrote
●見聞きした鳥
アオサギ、トビ、キジバト、コゲラ、コシアカツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ノビタキ、キビタキ、エゾビタキ、コサメビタキ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワ、イカル、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス 23種
●出現昆虫
クロアゲハ、キチョウ、アサギマダラ、エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、ミツカドコオロギ、カネタタキ、クサヒバリ、マダラスズ
●目だった植物
キツネノマゴ、ヤブタバコ、ミズヒキ (写真)、キンミズヒキ、ヤブミョウガ、ゲンノショウコ、チカラシバ (写真)
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