鳥は熱帯魚と並んで最も色鮮やかな動物ですが、驚くべきことに、体内には色素がほとんどないそうです。正確に言うと、黒~褐色系のメラニンとオレンジ~茶色系統のメラニンの2つの色素しか持っていないらしいです。
では、なぜあんなにカラフルなのか?
鳥が色を表現する仕組みは2つあって、1つは餌の色が体に表れる場合。その典型がフラミンゴ。湖などでβカロチンを含んだスピルリナという植物プランクトンを食べるため、その色素が体に蓄積し、もともと白い体色がピンクに染まるそうです。
アンデスフラミンゴ(画像はパブリックドメイン)
ということは、野生ではない、動物園などで飼われているフラミンゴはスピルリナを食べないのでピンクにならないのか?という疑問が湧いてきます。
答はYES。動物園では普通はドッグフードを与えていて、そのままではピンクになりません。ピンクのフラミンゴにする場合は、ニンジンなどに含まれているβカロチンを餌に混ぜるそうです。
面白いことに、ヒナを育てるために親が自分の消化物(フラミンゴミルク)を与え続けると、白いヒナはだんだんピンクに染まり、逆に親鳥は徐々にピンク色が抜けて白くなるそうです。
北原白秋の童謡『赤い鳥小鳥』に、「♪~赤い鳥 小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実を食べた~」という歌詞がありますが、あながち間違いではなかったわけです。
鳥の色のもう1つの色の仕組みは「構造色」。
例えば、シャボン玉自体には色がないのに表面に虹のような色が表れます。あるいは、CDやDVDの表面も角度によって虹色が見えます。あれと同じことが鳥の羽で起きていて、羽そのものには色がないのに、羽毛の微細な構造によってさまざまな色に見えるのだそうです。
例えば、マガモの頭。下の動画を見ていただくと、角度によって鮮やかな緑色になったり、紫がかって見えたり、黒くなったりします。
構造色は緑~青~紫系統の色に多く、カワセミのコバルトブルーやオオルリの青、ブッポウソウの緑などもこの仕組みで発色しているそうです。
下のカワセミは、脇や背中のコバルトブルーは構造色、腹のオレンジは前回ご紹介した色素(メラニン)による色ということでしょう。
構造色にもいくつかタイプがあって、ある研究者によるとクジャク型とハト型があるそうです。クジャクの羽の緑~青~紫は全部構造色のようです。
構造色は羽毛の微細な構造によって発色しているので、例えば違法飼育されたオオルリなどは鳥籠による磨耗でその構造が破壊されて、美しい青が消えて黒っぽくなるそうです。鳥の剥製に生体のような美しさがないのも、おそらく構造が劣化するからではないでしょうか。
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