今年の夏に、バードウォッチャーを主人公にした映画が公開されます。作品のタイトルは『ビッグ・ボーイズ~しあわせの鳥を探して~』。北米大陸で催される探鳥コンテストを舞台にした劇映画です。
鳥を主人公にした映画にはヒッチコックの『鳥』がありますが、バードウォッチャーを主人公にした映画は初めてではないでしょうか。しかも、『花嫁のパパ』のスティーブ・マーティン、『ガリヴァー旅行記』のジャック・ブラックなど人気俳優が出演し、20世紀FOXが配給するメジャー作品です。
以下は英語版の予告編。
私は映画公開まで待ちきれず、アメリカ直送のDVDを購入して観ました。字幕がないので細かいストーリーは分かりませんが、バードウォッチャー必見の作品です。
1年間に観察する鳥の種類数を競うコンテスト“The Big Year”に3人の男が挑み、その悲喜交々をコメディタッチで描いています。アラスカのアリューシャン列島からフロリダまで北米大陸を、車、飛行機、船、カヌー、ヘリコプター、スキーなどを使って鳥を探すさまざまなシーンは、うらやましい反面、「そこまでやるか?」と思うほど。
いろいろな珍しい鳥が登場するほか、最後のタイトルバックには優勝者が観察した755種類の鳥の写真がフラッシュバックで紹介され、それを見るだけでもワクワクします。
この映画は、関西では大阪のシネマート心斎橋で上映されます。
最新情報はこちらのサイトで確認してください。
この映画には原作があります。私はその本を大阪市立図書館で借りて読みました。
原作は意外にもドキュメンタリーでした。著者は2000年のピューリッツァー賞を受賞した新聞記者。映画はコメディ仕立てですが、原作は文章にユーモアがあるものの、コメディではありません。
ということは、1年間の種類数を競うコンテスト(ザ・ビッグイヤー)が北米で開催されること、その参加者が一人で700種類以上の野鳥を観察すること、そのために6万ドルも出費することなどは事実ということです。
著者はあとがきで、「3人の参加者に数百時間インタビューし、彼らの日記や領収書を元にして書いた」と述べています。
日本にも、1日に何種類の鳥が観察できるかを競う「バードソン」というコンテストがありますが、目的は募金です。
アメリカで実際にこういう競技会が行われていることも驚きですが、希少種の出現情報を有料で提供するサービスがあることを知って驚きました。
いろいろ面白いことも書いてあります。珍鳥を追いかけるバーダーをパパラッチに例えたり、「(種類数を競う)バードリスティングはスポーツである」とも表現しています。また、優勝者のことを「彼はバーディング・マシンだ」とも書いています。「バードウォッチングとバードリスティングは別物」というのが私の読後感。
そうだとしても、鳥好きなら最初から最後まで興味津々で読める本です。京都市立図書館や京都府立図書館には所蔵していませんが、アマゾンでは販売しています。
後で知ったことですが、大阪支部は今年「創設75周年記念」として「ザ・ビッグイヤー2012大阪鳥見ランキング」を開催しています。アメリカのこのコンテストを踏まえてのことなんでしょうね。
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