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バードストライク

福島の原発事故以降、原子力に代わるエネルギーとして風力が注目されています。「風で発電できれば安心だし、CO2も出ないし…」というのが一般的な受け止め方でしょう。
しかし、風力発電にはあまり知られていない欠点があります。その一つがバードストライク。風車に野鳥が衝突したり、翼を切断されて死亡する事故が頻発しているのです。
日本にはまとまったデータがないようですが、米国カリフォルニア州のエネルギー委員会は同州の風力発電地帯で調査し、1年間にイヌワシが76~117羽、猛禽類全体で881~1300羽、鳥類全体で1767~4721羽、さらに全米では3万5千羽がバードストライクで死亡していると発表しています。

               (画像提供:morgue File)

猛禽類が犠牲になりやすいのは体が大きいからでしょうか。また、渡り鳥のルート上に風車が並んでいると事故も増えるようです。
バードストライクを回避するために、欧米では野鳥を含む環境への影響評価を取り入れて設置場所を決めているそうです。また、『不都合な真実』でノーベル賞を受賞したアル・ゴアが次に出版した『私たちの選択』によると、センサーによって鳥の衝突を避ける風力発電も開発されつつあるようです。

   日本のバードストライクで最も死亡事例が多いオジロワシ
          (An wild white tailed eagle by Surub)

しかし、バードストライク以外にも低周波の音による地域住民への健康被害、景観の破壊、設置のための環境破壊、低劣な発電効率、メンテナンス上の問題など風力発電は多くの課題を抱えています。デンマークは表向きは風力発電の国として知られていますが、その裏ではスウェーデンの原発から電力を輸入しているといいます。
「原発は危険だから風力発電を」とか「風力発電は環境にいい」と単純に考えたり、世間の風潮に流されるのではなく、いろんな情報を取り入れて判断したいものです。
風力発電とバードストライクについての詳細はこちら
日本野鳥の会がまとめた国内のバードストライクの事例はこちら

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