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桃が池10年の変遷

 大阪市内にはいくつかの大きな都市公園があってけっこういろいろな鳥が見られる、そしてそこには必ずといっていいほど池や堀があり水鳥の姿がある。ところがこの”桃が池”は町中にポツッと池だけがある。木々が生い茂ってるのは小さな島のところのみだ。その池の10年あまりの水鳥観察記録がある。

 調査を始めた2000年から、今期に至ってカモの数は1/3に減った。これまでに記録されたカモはマガモ、カルガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、アカハジロの7種類。毎年個体数トップの座はハシビロガモが占める。第二位がホシハジロそしてカルガモ。マガモとキンクロハジロは少ないながらコンスタントに数を保っている。10羽前後で推移してたヒドリガモは2004年にピタっと姿を見せなくなってしまっている。

 さて、カモが減ったり減らなかったり、また来なくなったりの原因はいったいなんなんだろう。近隣の人たちが鳥を嫌っていたり追い出したり、人為的な要因はまず考えられない。この池はいつ訪れてものんびり散歩を楽しむ人たち、時には餌をやったり、それを優し気な目で見てる人。またそれらを批判するような動きとかも聞いた事がないし感じられない。それでは池周辺の環境が変化したのだろうか、JR阪和線の高架化工事があった。工事期間中はなんらかの影響があったかも知れないが完工してしまった今、池の状態は以前とさほどの違いは認められないし、鳥の飛翔を著しく害するような構築物でもない。

 カモの減少の一因として考えられるのはまず池自体の植生の変化がある。鳥、生物の生息に関わる最大の環境要因は食べ物である。ハシビロガモは水面近くのプランクトンなどを主食としている。2000年には100羽近くいたが2004年から数を減らしはじめ2007年に激減、以後10から20羽で推移している。これは池にハスが繁茂しはじめたのと同期している。今では開水面のほとんどをハスが占めるようになってしまった。時々除去作業も行われているようだが、果たして10年まえの「桃が池」は取り戻せるのだろうか、そして、ハシビロガモの大群の飛来やふたたびヒドリガモが帰って来ることはあるのだろうか。
 飛来数2位のホシハジロが姿を見せはじめたのはヒドリガモが来なくなった頃であった。この変化は水深に関係するのかも知れない。彼らは水質改善のために設置された噴水のある部分、周囲がコンクリートで整備されたところなどにいる。陸ガモは餌を採れないがキンクロハジロを含む潜水ガモにとっては何も問題がないって事だろうか。増えたり減ったり居なかったりでカルガモ同様飛来数傾向の説明はできない。
 都市化という曖昧な表現は避けたいと思うのだが野鳥たちにとっての生息環境が悪化しているのは現実だ。ハスを愛でるのも楽しいが水鳥たちの微妙な生態にも配慮した環境浄化行政を望みたいところである。

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