ソウシチョウ(英名: Red-billed Leiothrix) Leiothrix lutea スズメ目チメドリ科
ソウシチョウは、アジア大陸東南部に生息するスズメ目チメドリ科の美しい鳥で全長15cm、日本では愛玩用として輸入され、逸出した個体が各地で繁殖している。標高500m以上のササ薮で営巣するため、ウグイスやコルリと競合すると思われる。「外来生物法」で「特定外来生物」に指定されているから、輸入、譲渡、新規の飼育などはできない。
2011、 2/ 8 (宇治市宇治)
近畿では六甲山をはじめ、奈良県の大峰山脈で早くから生息・繁殖していたが、近年は全域に広がっている。私の記録では、京都周辺の山々や比良山系で目立ち始めたのは2004年で、この年に、京都市の花背峠付近や「山村都市交流の森」のナメラ尾根、福知山の三岳山、滋賀県では比良連峰南部のホッケ山や北端の蛇谷ヶ峰、阿星山、比叡山の琵琶湖側などで囀りを聞いている。京滋では前年まで聞いたことがなかったので、1年でこのように拡散するものかと驚きを感じたものだった。
2010、12/ 12 (右京区嵯峨亀ノ尾町)
さて、京都周辺の山では、4,5年前まで大変な勢いで増加しそうだったソウシチョウが、最近になって明らかに減少しているのである。なぜだろうか? ご存知の通り、京都周辺に山々ではシカの食害によってササが全滅状態となり、ソウシチョウの営巣環境が失われたためと考えられる。
シカによるササの食害が比較的少ない比良山系では、ソウシチョウがあまり減っている印象はなく、当初は南部に限られていた分布が北に広がる傾向がある。
増えすぎてその食害が問題になっているシカが、ソウシチョウの増加抑止に一役買っているのは皮肉である。(Σ)
♦最近の京都府下での観察記録
双ヶ丘北斜面(15羽~20羽)、2009/ 4/ 5、2010/ 3/ 7、
嵐山亀山公園、2010/ 12/ 12
天ケ瀬吊橋右岸、2011/ 2/ 2
太陽が丘(5、6羽)、2011/ 2/ 3
宇治川と志津川合流点(25羽前後)、2011/ 2/ 8
雛 2010/ 9 (生駒郡平群町)
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