サシバ(八幡山)
例年23日(祝)に実施されてる”タカ渡り一斉調査”が雨のため延期された、それに伴い「タカ渡り探鳥会」も中止、26日の調査のみに参加した。記録を見ていただけは解ると思うのだが調査開始まもなくあちこちにタカ柱ができ慌てふためいた。獣医志望の学生の方が見学にこられてずいぶん助けていただいた。なにしろ要員は2人だったので記録と見張り、一人はカウントと手分けしても追いつかないのである。偶然とは言え記録的な日に出逢った事は幸運なんだろう。
八幡山
日時: 9月26日(日) 08:00~16:30
天候: 晴れのち薄曇り 風ほとんど無し
サシバ ハチクマ ノスリ その他
08~09 117 1 1
09~10 332 14
10~11 68 1 オオタカ 1
11~12
12~13 2
13~14 1
14~15 1
15~16
16~
合計 520 17 1 1
●出現鳥:
カワウ、ハチクマ、トビ、オオタカ、ノスリ、サシバ、ドバト、キジバト、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、コサメビタキ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス 21種
八幡山より近江八幡市市街
一斉調査のメインはやはり岩間山、以下が当日の記録です。担当者のコメント、考察とともに掲載(次ページ)しておきます。
岩間山
観察日時 9月26日(日) 6:23~16:10
天候 晴れのち曇り
結果 サシバ ハチクマ ノスリ その他
6 ~ 7 135 0 0 0
7 ~ 8 22 10 0 タカsp7
8 ~ 9 538 36 0 ツミ2、チゴハヤ1
9 ~10 861 56 3 ツミ1、オオタカ1
10~11 518 34 4 ツミ2
11~12 113 7 3 ツミ5
12~13 195 34 5 ツミ1、ミサゴ1
13~14 165 20 2 ツミ1
14~15 21 1 1 0
15~16 9 2 3 ハイタカsp1
計 2577 200 21 23
合計 2821
●渡りの鳥:ハリオアマツバメ、アマツバメ、ツバメ、コシアカツバメ、コサメビタキ
ハチクマ(八幡山)
次の観察会は「探鳥会ガイド」をクリック
●26日のコメント
とにかく今日はすごかった。いつもは早くて8時ごろの飛び立ちが多い岩間山で、6時台に130羽ほどが渡りました。ちょっとパラパラの時間を経て、8時台中盤から休みなしに来る来る!午前中だけで2300羽を越えましたが、9時台の一時間に1000羽近くが渡った時は、調査員一同、大変!死角を渡っていた個体群もあるようで、この数字でもまだ見落としがあると思われます。
調査員以外の方もたくさんお越しになって、総勢50名あまりでの観察でしたが、こんなに多い日にもかかわらず、案外低く近く飛んでくれたものが多くて喜んでいただきました。気候・数・コースとも最高級の一日となりました。
9/23の一斉調査の予備日でしたが、すごいデータが取れたと思います。調査に関わってくださった皆様、お疲れ様でした。
なお、この記録は岩間山観察史上、歴代第2位の記録となります。(On 2010/09/26, K.I wrote)
詳しくは“過去15年間の記録1995-2009(クリック)“をご覧ください。
●考察 1
今日の調査が中止になり時間ができましたので、きのうのハチクマの渡りについてもうちょっと検証を交えて考察したいと思います。
きのうは、白樺ルートではない日本海側ルートの群れが悪天候を避けて南下したのではないかという想定でしたが、湖北野鳥センターのHPを見ると、「今日は昼ごろまで曇り空で、昼に少し雨も降り、タカの渡りはほとんど見られませんでした。」とあります。
ここを通らずに南下したとなると、もっと東(岐阜あたり)で南下して関が原から・・・と考えて、岐阜金華山の数字を見ると、ここもほとんど飛んでいない。
日本野鳥の会京都の会員で気象予報士のTさんに、気象庁のHPから気象データの見方を教えてもらい検証してみました。
まず、天候の悪化で南下と仮定しているが、日本海側の天候がどれほど悪かったのか?
福井と敦賀の気象データを見ると、少量の雨は降っているものの風も弱いので、この程度の天候を避けるとは考えにくい。
次に、ウィンドプロファイラという上空の風の強さのデータを見てみる。
上空9kmまでのデータがあるんですが、タカの飛ぶエリアとして1kmを見てみる。
福井あたりを飛んでいたとして、猪子山の到着時間から逆算して9~11時を見てみると西風6~10m/secと少しは強い。ちなみに2kmだと14~18m/secとかなり強いが、この日は1kmあたりでも-2~-4m/sの下降気流があり、1km以上揚がって渡るとは考えにくい。
どうもこのルートだという説得力に欠けます。
では、もっと東から南下と仮定すると・・・
残念ながら、岐阜や石川のウィンドプロファイラのデータはない。
一番近い新潟県高田のデータを見てみると、街中の風はそんなに強くないものの、上空では早朝からかなり風が強く、1kmあたりで西南西~西の風がすでに10m/secを越え、2km付近では20m/secを越えていますし、雨もそこそこ降っています。しかも-4m/s以上の下降気流があります。
避ける要素はあるんですが、新潟まで行くと遠すぎて参考になるのは9/21のデータだと思われます。しかし残念ながら前日までの分しか公開されていない。
データ不足もあってこれ以上のことは解りませんが、まだまだ解らないことがいっぱいあります。
昨日は、安易に悪天候を避けたのだろうと書きましたが、いろんなデータを検証してみるとどうもそう簡単にはいきません。
大きなレンジで見ると、前線の南下による悪天候を避けて・・・というのは間違っていないと思うのですが、違う可能性も充分あります。どこを通って・・・となるとなおさら難しいですね。
上流のデータ、気象データなどのデータに頼りすぎる私たちを嘲笑うように、毎年なにかしらの不思議を与えてくれるからこそ、タカの渡りはおもしろいとも言えますね。
データどおりに来るなら、こんなには熱中していないでしょう。(笑)
長々と勝手な解釈を書いてしまいましたが、みなさんはどんなふうにお考えでしょうか?
ご意見をお待ちしています。
気象データを添付しませんでしたが、必要な方はお申し出ください。(On 2010/09/23, K.I wrote)
●考察 2
この前の、サシバについても少し。
この前のサシバの現れ方には、認識を新たにさせられました。
今までは、白樺峠で出たタカは約一日半かかって岩間山に現れていましたが、今回は次の日に現れていますし、鳴門まで届いています。鳴門までは概算で400km以上あると思われます。
過去に、発信器を付けて調査していたときに、3日間で福江島まで行ったという記録がありましたが、今回のはそれをしのぐ距離を移動したことになります。
しかも、もうひとつ不思議なのは、その前日(9/25)。
その前の数日間、白樺峠も信州新町もほとんど飛んでいないのに、岩間山と萩谷ではそれぞれ788,650ととこから来たのだろうと思える渡り方をしています。
白樺神話は参考程度になってきましたが、それにしても毎年わからない不思議なことが起こります。だからこそ面白いのですが。
皆様の推測もお待ちしております。(On 2010/09/30, K.I wrote)