「コナラを枯死させるカシノナガキクイムシ駆除にご参加を」
カシナガ駆除活動
3月13日(土曜日)3月22日(月曜日)
午後1時。大文字山千人塚集合。
場所の分からない方は、12時半に銀閣寺前に集まって一緒に現地まで登りましょう。 銀閣寺裏手の登り口から、大文字山火床に向かう途中です。銀閣寺前から、ゆっくり 歩いて30分弱で現場につきます。
持ちもの。トンカチ。どのようなものでもいいですが、小さい方が使い易いです。他の資材は主原さんが用意しますが、可能な方は、任意でかまいませんので、1000円以内で資材代のカンパをしていただけると幸いです
連絡先 守田敏也
e-mail: morita_sccrc★yahoo.co.jp (★を@マークに入れ替えてください)
ミズナラ Quercus crispula Blume ブナ科 コナラ属
元気な頃の芦生のミズナラ Images: fagus06
3月13日(土曜日)と22日(月曜日)の午後1時より、大文字山で、カシノナガキクイムシの駆除活動を行ないます。「北山の文化と自然を守る会」の主原さんに、現場でカシナガの説明と、駆除方法の指導を受けて進めます。場所は大の字の下の辺りの千人塚周辺。持参するものはトンカチのみです。これでカシノナガキクイムシが木に入り込んだ穴に、プラスチックのスティックを打ち込み、コロニーを封殺します。誰にもできる簡単な作業で、コナラの木を守ることができます。ぜひ、あなたの力で、コナラを守りに来て下さい。
倒れたミズナラ Images: fagus06
カシノナガキクイムシ(カシナガ)について説明します。この虫はもともと九州や沖縄、台湾に住んでいた虫で、体長は5ミリぐらいですが、キノコ菌(ナラ菌)をコロニーで培養して餌にする特性を持っています。
住処にする樹木をみつけると、まずオスが直線的に穴を掘って進んでいき、やがてそこにナラ菌を、背中のマイカンギアという器官に乗せたメスがやってきて、周辺に菌を植え込みます。
名前にあるようにもともと南方のカシの木を住処にすることが多かったのですが、カシの場合、長年の共生関係ができていて枯死することはありません。樹の成長点とは無縁な深部まで穴が掘られ、そこがコロニーになるためです。ところがナラ科のミズナラやコナラの場合、コロニーが、形成層という木の成長点(表皮をはいだあたりのぐるり一周)近くに出来てしまい、それが樹を一回り覆う形でできてしまうと、成長点にナラ菌
が感染して壊死し、通水作業が阻害され、やがて枯死してしまいます。このため各地でミズナラやコナラの大規模な枯死が起こっています。
この虫が北東に進んできたのは地球温暖化の影響です(次のページへ)。
コナラ Quercus serrata Thunb. ex. Muuray ブナ科 ナラ属
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そのため京都周辺では丹波山塊や、芦生の森などでは、すでにミズナラなどが大量枯死し、見るも無惨な姿になっていますが、このムシたちが、数年前から京都市内にも侵入を開始。東山を辿って南下し、高台寺境内にまで出没するようになりました。京大農学部グランドにあった、「オリンピックオーク(クリック)」というベルリンオリンピック のときに京大卒業生が三段跳びで金メダルを獲ったことを記念して植樹されたヨーロッパナラも、枯死させられてしまいました。
オリンピックオークの伐採跡 Images: fagus06
このカシナガによる大量枯死の問題に初めに気がついたのが、「北山の自然と文化を守る会」の主原憲司さんです。主原さんは、他のさまざまな自然現象とともに、芦生の森や丹波山塊を襲っている温暖化の影響を克明に記録し続け、とくにカシナガの動向を追い続けてきました。もともと昆虫研究家でもある主原さんは、自宅に大量のカシナガを持ち帰って飼育し、カシナガの生態を調べ続けました。そしてついに、カシナガから樹木を守る方法に辿り着いたのです。これは日本で初めてのことです。
その方法とは、カシナガのコロニーを、楊枝のようなものを差し込んで封印してしまうというシンプルなものです。ただし楊枝では食い破って出てくるカシナガがいるため、プラスチック製のものを使います。カシナガは穴の中で数十倍の次世代を生むので、1本あたり70匹ぐらいのカシナガの飛翔を食い止めることができます。さらに、これから襲われそうな樹木の下の方の4メートルぐらいに樹木を半分覆う形でビニールを張ります。こうするとカシナガが後の半分にコロニーを作っても、残りの半分の成長点が守られるため、樹木は枯死しないで済むし、やがて対抗菌も繁殖するためいわば、抗体ができるようになります。
主原さんは、この手法で、大文字山から東山、また吉田山の多くの樹木を救ってきていました。ここまできてようやくカシナガの進行に待ったをかけることができたのです。とくに高台寺の社寺林、あるいは清水寺の社寺林あたりの樹木を大量に救っています。しかし大文字山には十分な手が回らずに、被害が拡大しつつあります。このまま放置すれば、大文字一体のコナラが大きなダメージを受けてしまいます。被害は凄いスピードで周辺に拡大もしていきます。このために新たにムシが羽化する6月までに、可能な限りの対処を進めたいのです。
私たちが、穏やかで、争いのない暮らしを送ることと、豊かな自然が保全され、緑に溢れる森林が守られていることには、大きな親近性があります。その意味でも平和と自然を愛する多くの方に、集まっていただければと思っています。どうかよろしくお願いします。守田敏也
参照:
世界 2010年 4月号 / 岩波書店(クリック)
森が壊れていく
山と森にしのびよる「ナラ枯れ」
守田敏也 (フリーライター)