科学系のテレビ番組で時々取り上げられるのでご存知かも知れませんが、新幹線の500系車両は鳥をヒントにして設計されています。
JR西日本が時速300kmの新幹線を開発し始めた頃、高速でトンネルに突入すると空気圧のために出口で「ドン」という音が出る「トンネルドン現象」が大きな壁になりました。ある開発者が、カワセミが水に飛び込む際ほとんど水しぶきを上げないことに着目。そのクチバシの形が最も空気抵抗が小さいことをつきとめ、カワセミにそっくりな車体にすることで「トンネルドン現象」をクリアしたのです。
カワセミをヒントに設計された500系車両
その開発者が鳥から得たヒントはもう一つあります。時速300kmで走行するとパンタグラフも大きな騒音を出すそうですが、それを防ぐためにフクロウが音も立てずに羽ばたいて獲物に近づくことに着目。その羽根の消音構造をパンタグラフに取り入れて騒音基準をクリアしたのです。
新幹線が時速300kmで走れるのはカワセミとフクロウのお陰なんですね。
京都御苑・近衛池のカワセミ
その開発者というのは、実は当支部会員のNさんです。台湾に新幹線が敷設された時には技術指導のために現地に赴任し、支部の会報やMLに台湾の鳥だよりを寄稿されていました。
Nさんには著書があって、そのタイトルが『自然に学ぶ』。カワセミやフクロウに学んだ体験から自然への敬意を強くされたようです。
そして現在は、「地球にやさしく」という尊大な言い方ではなく「地球に謙虚に」と表現するべきだという趣旨から、「地球に謙虚に運動」を立ち上げて代表者として活動するほか、いろんなNPOに関わりながらメッセージを発信されています。
Nさんが提唱される「地球に謙虚に」運動のwebサイトはこちら
なお、500系は東海道新幹線の「のぞみ」としては2月末で引退しますが、山陽新幹線の「こだま」としては引き続き運行されます。
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