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比叡山探鳥会

 朝から晴れの気象予報に裏切られた気分で、ケーブル八瀬に着く。ケーブルの途中で雲の中に入った。だが、間もなく雲は失せ、ケーブルを降りると、全くの晴天。さして、下界は真っ白な深い雲海に覆われている。みな、興奮して歓声を挙げる。ここでは、誰にとっても初めての経験なので、当然のことだった。

                 ケーブル比叡駅より京都市内を望む

 ヒヨドリの騒音に混じってベニマシコの声がする。しかし長続きはしない。登山コースを登り始めてすぐ、ルリビタキの声。ジョウビタキとの違いを説明するいいチャンスと思った途端、誰もが知ってる囀りを2~3声まじえて、気勢をそがれる。この途切れ、途切れの歌は冬でも偶に聴かれるのだが、みなさん聴かれて幸いだった。だが、この後がよくない、旧スキー場建物の裏で数人がウソを聴いた後は、鳥はほとんど声を出さない。つつじ園の見晴らし台から、近くの紅葉と雲海の向こうの山並みを眺めるだけ。
 府県境へ下る途中、思い出せない声を聴く。後でコガラの地鳴きの一つと気付いたが、記憶の衰えが恨めしい。府県境から東の杉林で、キバシリに気をつけるのだが、これも不発。ただ、ミソサザイがウグイスの笹鳴きに似た声を出していただけ。山王院で休憩後、浄土院からは裏側の谷沿い道を進む。ミサソサザイやホオジロ類に期待したが、これも空振り。

                         スキー場跡

 椿堂から脇道に入り、釈迦堂に向かうと、突然キョ・キョという声と共に小鳥の群れ。間違いなくアトリだ。杉林の茂った枝葉の中を、目まぐるしく飛び回るので、なかなか双眼鏡の視野に留まってくれない。ヴェテランの見積もりでは優に千羽を超える群れだという。この集団の中に、マヒワらしい声が混じっているように思えたのだが、確信は持てない。また、姿を確認した人もいない。今日一番の舞台劇を堪能した後、釈迦堂裏で昼食。
 帰りは、自動車道を渡り、旧清龍寺道をたどる。例年、ホオジロ類を見る古いケーブル跡地でも鳥は静である。府県境に戻り、2人を坂本方面に送ってから、再び見晴し台へ。下界の雲海は去り、大原の里が姿を現している。でも鳥は相変わらず不在….と思いきや、2羽のコゲラが近くのカナクギノキに飛来した。彼らは餌を探して枝をつつくだけではなく、赤い実も食べている。糖分は “虫屋” にとっても直接のエネルギー源として必要なのだ。一同、この幕引き直前の寸劇にゆったりと、また微笑ましく見守った。
               比叡山探鳥会(11月23日) T.U wrote

             黄葉するウリハダカエデ

●見聞きした鳥
マガモ、カルガモ、キジバト、コゲラ、キセキレイ、ヒヨドリ、モズ、カワガラス、ミソサザイ、ルリビタキ、ジョウビタキ、ウグイス、エナガ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、アトリ、ベニマシコ、ウソ、ハシブトガラス 24種

●実をつけていた植物
マルバノホロシ、ヤマホロシ、タニウツギ、カナクギノキ、エゴノキ、ツルマサキ、ノブドウ、センダン、ヒメヤシャブシ、ハンノキ ? 、etc.

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       キチジョウソウ Reineckea carnea ユリ科 (最近の分類体系ではスズラン科)
        常緑多年草。関東以西に自生。

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