毎春、初めて渡り鳥の歌を聴くのは、大変感動的だし、喜びも一入である。今回は、先の松尾谷探鳥会で裏切られた鬱憤を晴らす機会ともなった。
苑内を巡り始めてすぐ、高くて、短めの「シー」という声を聴く。春のシロハラの地鳴きのひとつである。彼はすぐに姿を現した。続いて、近衛池の森で「ヒーツーキー」とエゾムシクイの囀り。間欠的だが、完全な歌だ。確かな春の手ごたえの一歩。今出川広場(野球場)付近でキビタキが歌った。いつも通りの完成歌だ。ここでシロハラの、のんびりした囀り。北帰行を控えて歌の練習中。この西側の林から、多くの声に混じってカシラダカの囀り。早口で複雑な声で、完成歌に近いとみた。石薬師御門脇にオオルリの姿。地面にも降りて”観客”を釘付けにした。でも声は出さない。
「観客」
鳥の水飲み場の高木で別のキビタキが姿を見せて歌った。初めて見たという人が「美しい」と感嘆の声をあげた。ビンズイが何カ所かで恐るおそる歌っていた。でも、まだ地面で地鳴きを出す方が多い。アオジの囀りを聴いた人があったが、筆者は聞けず。迎賓館の南東側でセンダイムシクイの囀り。後の「ビー」を省くこと多し。ツグミは随所で見聞きしたが、地鳴きだけで歌うものなし。アトリはまだ多く、完全な夏姿となっている。「ジー」と不快ともとれる声は、彼らの歌である。
地元の留鳥を忘れるところだった。浪々と歌うヤマガラやシジュウカラ、せつない繁殖期の声を出す近衛池のカワセミ、優しい声で歌う(?)子育て中のカワラヒワ、明るい声のイカル。どれも春を謳歌してる。
開花植物はシャガ、カイドウ、キンポウゲ、ハルジオン、ヤマブキ、フッキソウ、アメリカヤマボウシ、キランソウなど。昆虫にまで目が届かず、残念。
京都御苑早朝探鳥会(4月20日) T.U wrote
フッキソウ (富貴草) Pachysandra terminalis ツゲ科
別名 キチジソウ(吉祥草) 常緑の小低木
●見聞きした鳥
ゴイサギ、アオサギ、トビ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ツバメ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、エゾムシクイ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、カシラダカ、アオジ、アトリ、カワラヒワ、イカル、シメ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス 31種
ゲンゲ (紫雲英) Astragalus sinicus マメ科ゲンゲ属
別名レンゲソウ(蓮華草)
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