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鴨川リレー探鳥会

 ♪春~は名のみ~の風の寒さや~♪

 3月30日の鴨川は寒かった!コースは鳥羽街道からクイナ橋まで。鴨川もこの辺りまでくると上流の景色とはがらりと変わり川幅も広く水が緩やかにながれている。河川敷も整備され、サクラを愛でながらゆっくりと歩く。

 ヌートリア (詳細説明は最下部にある「続きを読む」をクリックして下さい)

 心地よくメジロの声を聞きながら水辺を見ると、中州でヌートリアが食事中。彼も畑や堤防を徘徊すると「有害」という汚名をきせられるが、いつも中州にいるのなら、誰も文句は言わないだろうに…。

       鴨川リレー探鳥会(3月30日) K.N wrote

●見聞きした鳥
カワウ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ヨシガモ、トビ、コチドリ、イソシギ、ユリカモメ、キジバト、カワセミ、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ウグイス、メジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス、ハシボソガラス 32種

     次の観察会は「探鳥会ガイド」をクリックして下さい。

名前 : ヌートリア nutria
別名 : カイリネズミ(海狸鼠) ショウリ(沼狸) coypu
学名 : Myocastor coypus   命名者 Molina  命名年1782年
分類 : 哺乳網 げっ歯目 ヌートリア科  1属1種
     (*1994年以前の文献では カプロミス科という表記もある。)

原産地: 南アメリカの中・南部(チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ボリビア、ブラジル南部)
日本での生息域: 広島県、島根県、岡山県、鳥取県、香川県、兵庫県、大阪府、京都府、三重県、奈良県、滋賀県、岐阜県、愛知県。   (*最近の分布は調査中。)
生息環境: 水辺に生息し、湖沼や流れの弱い河川などの岸辺に住む。結氷するような寒い地域には生息できない。  (*寒さに弱いとする文献もあるが、それは疑問。)

頭胴長: 43~64㎝
体重 : 6~10キロ

体色・体毛: 毛は上毛と下毛からなる。上毛は黄褐色か赤褐色で長く粗い。下毛は暗灰色で防水性が高く、密で柔らかな羊毛状。鼻先の毛は白い。

尾  : 25~43㎝ まばらにしか毛が生えてなくて円筒状。見た目もねずみの尻尾そのまま。
歯  : 歯数20個。前歯は特に大きくオレンジ色。前歯はねずみ同様伸び続ける。
体の特徴: 頭部は大きく体はずんぐりしているひょうたん型である。頭に比べて目も小さく、耳も小さく丸い。前足後足とも五指。後足の第1~第4指間には水かきがある。第5指は離れていて、毛づくろいに使われる。前足に水かきはない。前足の第1指は痕跡的であるが、他の指は長く曲がりやすい形をしている。前足後足ともに爪は鋭く強い。染色体数2n=42。
食性 : ほとんど完全な草食。(*文献によれば草食性である。しかし、魚を食べているところを実際に目撃した。)マコモ、ホテイアオイ、ヨシ、ヒシ、ハスなど水辺の植物の葉、茎、地下茎を食べる。陸上の草、野菜も食べる。1.5~3㎝のソーセージ状の糞をする。

生態 : 半水性。水辺の土手に穴を掘って群で住む。日中も活動するが、基本的に夜行性。朝夕の薄暮時に最も活動が活発。昼間は巣穴や草むらで休んでいることが多い。陸上での動作は鈍い。水性生活に適し、遊泳が得意。5分間も水中に潜っていることができる。ふつう雌雄で暮らす。雌の成体は定住的で、雄に比べて行動範囲は狭い。雄の成体は移動性が高い。若い個体は、新しいテリトリーを求めて移動する。  (*一夫多妻的な傾向を持つとする文献もあるが、環境によって変わると思われる。)
巣の形態: 巣は、河川の土手や中州に穴を掘ってつくる。巣穴は細長く複雑で総延長10m以上となる。巣穴の入り口は、水辺の植物が生い茂っている所に作られる。その他、水辺の草むらに草の茎、枝、葉などで巣を作る場合や、水上に植物を積み上げて浮き巣を作る場合がある。浮き巣は「プラットホーム」とも呼ばれる。

繁殖 : 特定の繁殖期は無く、1年に2~3回出産する。妊娠期間は約130日。1産で1~13子を産む。平均は5子。子は、目が開き毛が十分に生えた状態で産まれる。子の体重は220グラムほどあり、よく発達してから生まれるので、産まれてから2~3時間で動き回り1日で泳げる。母親の乳首は体側にあるので、腹這いのまま授乳できるし、水面に浮かびながらも授乳できる。母親の乳首は4対。母親は約5日間しか哺乳せず、子は2~3日で餌を食べ始める。生後3~4ヶ月で成熟し、6~7ヶ月後に出産する。

寿命 : 6~10年
うんちく: 毛皮はカワウソのように上質で、カワウソの毛皮と称して売買されたため、カワウソのスペイン語<ヌートリア>がまちがってこの動物の呼び名になった。

○ 帰化動物としての経緯と状況
 人間によって持ち込まれ、やがて人間の手を離れて野生化し、自然増殖を始めた外来の動物を、帰化動物と呼ぶ。
 日本には1907年に上野動物園に初めて輸入された。日本では1939年(昭和14年)に軍用の毛皮獣として150頭が輸入された。第二次世界大戦中は、防寒用の毛皮を採り、肉は食用とするために多数飼育された。1944年には4万頭も飼育されていたという。第二次世界大戦が終わると需要がなくなり、放逐されたり屠殺されたりした。生き残ったものが野生化し、各地で帰化した。
海外では:
 海外では、北アメリカ、東アジア、東アフリカ、ヨーロッパなどに帰化している。その毛皮を目的に世界各地で飼育されたため逃げ出したものなどが再野生化している。土手などに穴をあけ、キャベツやコムギなどの畑を荒らすことがあるため害獣となった。
日本では:
 日本では、岡山県に最も多く生息している。とくに岡山県児島湾干拓地一帯では、縦横にクリーク(排水溝)がつくられ、水性植物が生い茂るなど生息条件に恵まれ、かなり多数が生息している。イネや水路ぞいの野菜に大きな被害を与えるため、毎年2000~3000頭が捕殺されている。岡山県での捕殺数は、全国の90%以上を占める。
○ 補足情報
 岡山での行動調査では、メスの行動圏は巣穴を中心に形成され、メス同士は住み分けていること、オスの行動圏はメスの約3倍あり、オス同士は重複していることがわかった。1頭のオスは2~3頭のメスの行動圏にまたがって生活し、これらのメスと繁殖を行っている。
参考文献
 ◇日本大百科全書 1994年1月1日二版発行 小学館
 ◇ポケット図鑑 世界の動物 1995年8月20日発行 成美堂出版
 ◇世界大百科事典 1988年4月28日発行 平凡社
 ◇日本動物図鑑 昭和58年11月10日新版再版発行 北隆館
 ◇日本の哺乳類 1994年12月20日発行 東海大学出版会
 ◇日本動物大百科2 1996年3月25日発行 平凡社
 ◇動物大百科5 1986年9月15日発行 平凡社

「稲美野ヌートリア通信」 ヌートリアの観察HPです。ご参考に。

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